マーリンズからフリーエージェント(FA)となっていたイチロー外野手(44)が5日(日本時間6日)、マリナーズと1年のメジャー契約で合意した。

 緊急渡米し、身体検査も終了。6日午前(同7日)にキャンプ施設のあるアリゾナ入りし、正式契約後に記者会見を行う予定だ。故障者が続出し、外野陣が手薄なマ軍は、レギュラー候補としても期待しており、29日(同30日)の開幕戦(対インディアンス戦)でスタメン出場する可能性も十分。同地区に所属するエンゼルス大谷との夢の対決が楽しみだ。

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 2012年7月。ヤンキースへのトレードでシアトルを離れたイチローが、44歳で迎える今年、6年ぶりに自らの「庭」とも言えるセーフコ・フィールドに戻ることになった。マ軍と代理人ジョン・ボッグス氏の間で進められてきた緊急交渉が、わずか2日間あまりで合意し、イチローの復帰が決まった。

 マ軍が提示したメジャー契約こそ、期待の表れだった。今オフは過去に例のないほどFA市場が停滞したこともあり、バティスタ(ブルージェイズFA)、ゴンザレス(ロッキーズFA)ら実力者が未契約というだけでなく、中堅外野手の多くが「マイナー契約・キャンプ招待選手」の条件で契約。外野手市場の動向は依然として流動的な状況で、輝かしい実績があるとはいえ、イチローへのメジャー契約は「特例」にも近いものだった。

 今回の合意は、マ軍が自軍内の状況変化に迅速に対応した結果だった。昨年11月のFA交渉解禁後、1度はイチロー側と接触したが交渉は具体化せず、その後は事実上「凍結」されていた。もっとも、昨季途中から左翼の定位置をつかんだ25歳ギャメルがキャンプイン後、右脇腹痛で戦列を離脱。開幕絶望、さらに長期化する可能性があるだけでなく、右翼手のハニガーや、控えのヘレディアが故障を抱えていることもあり、外野手補強を決断した。

 マ軍の切り替えは早かった。3日(同4日)にイチロー側へのアプローチを開始し、翌日には大筋合意。イチロー自身が5日に緊急渡米し、シアトルで身体検査に臨むという慌ただしい日程で「古巣復帰」が決まった。

 現時点でマ軍の外野陣で確定しているのは、マーリンズ時代以来のイチローの「愛弟子」で、今オフの移籍後に中堅へコンバートされたゴードンだけ。外野の全ポジションをこなせるイチローの出場機会が増える可能性は、極めて高い。

 背番号は慣れ親しんだ「51」となることが確実。3月29日の開幕戦。シアトルでデビューし、愛される存在となったイチローが、再び「スタメン」で、メジャー18年目を踏み出す姿が見られそうだ。