マーリンズからフリーエージェント(FA)となっていたイチロー外野手(44)が7日(日本時間8日)、古巣のマリナーズと正式契約を交わし、記者会見を行った。

 <記者メモ>

 シーズンオフ、自主トレを行う神戸で少しイチローと話す。日本唯一の「足の守護神」である大阪・服部天神のお守りを渡す目的だ。このオフはちょっと気を使った。所属チームが決まっていない状況は、これまでとは違う。

 「そうですかね。マーリンズのときも1月末でしたよ」。年末に顔を見にいくと、こちらの予想に反してイチローは平然と話し、絞り上げた体で動いていた。この日の記者会見で言えば「泰然」か。

 ヤンキースでスタメンに出られなかったとき「正直、頭にきてた?」と聞いた。答えはシンプルだった。「それは監督が決めることですから。自分がコントロールできないことについて、どうこう悩むのは意味がありません」。アスリートの思想がすべて一般の人間に通用するとは思わないが、この思想には記者として、サラリーマンとして強く影響された。

 そんな言葉の背景には強烈な自負もある。国内球団の誘いもあったが米国にこだわった。「オレはできる」と思っているからだ。44歳の年齢について周囲が見る目と自分が感じていることとの違いについて違和感も持っている。それを吹き飛ばすのに古巣での活躍はもってこいだ。平然と安打を放つあの姿を見たい。【編集委員・高原寿夫】