マリナーズの背番号「51」が帰ってきた-。マ軍に復帰したイチロー外野手(44)がレッズ相手のオープン戦に、「1番左翼」で初出場。3打数無安打に終わったものの、満員のファンから総立ちで迎えられ、「感慨深いです」と感激に浸った。12日(同13日)のホワイトソックス戦にも出場する予定で、29日(同30日)の開幕戦まで徐々にペースを上げていく。
オープン戦とは思えないほど、球場内が熱気を帯びた。開始前、イチローが乗ったカートがグラウンドに入ると、気がついたファンが次々に拍手を送り、「イチローコール」を始めた。それらの声援に、イチローが軽く手を上げて応えると、さらに歓声は膨らんだ。前売り、当日券ともチケットは完売。復帰後、初披露となった背番号「51」に視線が注がれ、球場は「イチロー一色」に染まった。
「いろんなことを経験して、またここに戻ってきたことは感慨深いです」
合流後の過去3日間は、練習着とユニホームの組み合わせだった。試合前、着替えを終えると、あらためて「復帰」を実感した。
「袖を通して、スパイク履いて、キャップかぶって、全部制服としてそろった時にね」
1回裏、打席に向かう際には、スタンディングオベーションで迎えられた。
「あ、あったんですか。見てないんですけど…。アメリカの文化に粋というものはあまりないですけど、こういうのはそうですよね。それを選手側が感じないなんてあり得ないね」
一身に注目を集めた3打席は、見逃し三振、左直、空振り三振と、初安打はお預けになった。だが、それぞれ8、5、7球と粘り、全20球の「目慣らし」を行った。特に見極めたボール9球に、イチローは特有の手応えを感じていた。
「(去年と)まったく違う。あれだけボールを見られない。振らないと決めてたら見られるけど、振りにいって止めているから」
12日のホ軍戦にも2試合連続出場する予定で、残り2週間あまりで仕上げていくことになる。
「とりあえず今日でグッと上がったはずですから、感触がね。練習でいくら重ねても限界があるので、今日で感触的には次元が全然違う。昨日までと」
満員のスタンドを見て、復帰した感慨に浸るだけでなく、イチローの視線は、しっかりと開幕に向けられていた。【四竈衛】