エンゼルスのアルバート・プホルス内野手(39)が、メジャーでともに戦ってきた盟友、マリナーズのイチロー外野手(45)の現役続行へエールを送った。

01年にナ・リーグの新人王を獲得し、18年間で通算3082安打、633本塁打をマーク。メジャー屈指の大打者が、生まれ育ったドミニカ共和国を代表する選手としての野球観も語った。

-メジャー19年目のシーズン。どれくらい、ワクワクしているか

プホルス 長いね。とても楽しみだし、こういう機会をくれて感謝している。僕の目標は良い状態をキープして、チームをワールドチャンピオンに導くこと。

-01年のア・リーグ新人王、マリナーズのイチローもメジャー19年目。プホルスを「同志に近い存在」だと言っていたが

プホルス イチローは本当に素晴らしい選手だ。日米で彼をサポートし、応援してきたファンの前でプレーすると聞いて、僕もうれしいよ。50歳までプレーしたいと言っているし、それが出来るとしたら彼しかいない。引退した時には(日本人で)初めて野球殿堂入りするよ。

-イチローのメジャー通算安打数まであと7本

プホルス いつか、追い抜くよ(笑い)。

-イチローの打撃で一番優れたところはどこか

プホルス 目と手の使い方、あとバットコントロールだね。どこに打ちたいか、考えて打っている。遊撃方向へ打てば、走ってセーフにできる。本塁打も20~30本打てるパワーもあるけど、彼はスマートで、野球を知っている。自分がヒットを打って出塁することが大事と分かっているね。おそらく、僕が今まで見てきた中で、メジャーで最も強肩な選手。打撃ももちろんすごいけど、守備も素晴らしい。完璧な選手だ。

-イチローがやってきたことで、自分にもできると思ったことは

プホルス 彼は肩も強くてスピードもある。守備も素晴らしい。僕はもう少しパワーがあるかもしれないけど、タイプは全く違う。

-イチローは50歳まで現役でプレーすると言っているが、自身はどうか

プホルス もし50歳まで出来るなら素晴らしいことだけど、それは僕の目標ではない。

-母国、ドミニカ共和国は野球が盛んだが、貧富の差もあり、経済的理由で野球ができないこともある

プホルス 確かに僕らの国、また南米の国々、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコでも、野球をしたり、野球教室に参加したりできる経済的余裕があるところもあれば、残念なことにそうではないところもある。僕もいろいろな機構を通じて、野球ができる環境がない子供たちに、そういう機会を与えようと活動をしてきた。野球選手として、それが僕たちの役目であり、僕らを必要とする子供たちに、手を差し伸べる責任があると思う。

-日本では野球少年のケガや、指導法の問題などがある。例えば、指導者が怒鳴ったり、そういうことはドミニカではないと思うが

プホルス ドミニカの子供たちだって、怒鳴られることはあるよ(笑い)。例えば、コーチが僕に何と言おうと怒鳴ろうと、もしそれが僕にとってベストなことであれば、やろうと思う。ただ、話をするときに、少し注意深くならないといけない。子供たちに、どうやってアプローチしていくか。それが今は一番、難しいことだと思う。なかには、他の子供たちよりも、繊細な子たちもいる。

-どう接する

プホルス まず第一に僕らは人間だし、愛が必要。子供たちの声をしっかり聞くこと。第二に、教育もすごく大事で、コミュニケーションの仕方にも関係してくる。もし、正しいアプローチで、また笑顔で接すれば、理解し合える。そういうことを今、日本だろうと、ドミニカだろうと、アメリカだろうと、どこであろうと、指導者たちが考えるべきことだと思う。一番大事なのは、少年たちと正しく接していくこと。みんなが、野球をやりたいと思っているし、野球だけでなくて、どんなスポーツでも、成功したいと思っている。

-イチローが日本を代表するように、自身もドミニカ共和国を代表する選手として、アメリカに新しい野球の文化をもたらした

プホルス 僕だけじゃなくて、今まで多くのドミニカ出身の選手が活躍してきた。彼らが僕に野球をやるきっかけを与えてくれた。イチローも同じく、メジャーで19~20年やって、マリナーズを代表するだけでなくて、日本を代表する選手になっている。メジャーへの扉を開けて、今、多くの日本人選手がアメリカに来るようになった。僕にとってもそれは同じ。僕の前に、多くの選手がメジャーへの扉を開けてくれた。僕の仕事は、ベテランとして、その扉を開け続けることだね。