<マリナーズ0-7ヤンキース>◇27日(日本時間28日)◇Tモバイルパーク

対照的な2人だった。ヤンキース田中は安心して見ていられた。1球1球を大切に、丁寧に投げている。日本にいる時は剛球でねじ伏せるイメージだったが、今は制球力を武器に、低め、低めへと集めている。

今日も左打者の外角ストライクゾーンに入ってくるバックドアのスライダーなど、コントロールは抜群だった。2回1死で5番マーフィーを迎えた場面では、カウント2-2から捕手ロマインが高めのボール球を要求した。フルカウントになっても田中なら大丈夫だと考えたのだろう。それほど信頼が厚いのだ。

一方、マリナーズ菊池は制球がバラバラで、スライダーのキレもなかった。ジャッジの1発は、中途半端な高さに構えた捕手にも問題があるが、全体的に見てもフォームのバランスが悪く、リズムを欠いていた。前回登板では完封勝利を挙げたが、この時期はプレーオフを狙えるチームは戦力アップを図り、それ以外は主力を放出して戦力ダウンする。対戦相手によって結果は大きく変わるし、ヤ軍のような強力打線を力だけで抑えるのは難しい。

2人を比べると投げた後のバランスがまるで違う。下半身をきちんと使って投げる田中は、投げた後も教科書通りにすぐ守備の態勢に移る。菊池は踏み出した足が突っ張り、しっかり体重移動ができていないから、投げた後もフォームが乱れる。今日は突いた足を気にするそぶりも多く、何かコンディション面でも問題を抱えているのかもしれない。いずれにしてもメジャーでの自分のフォームを確立できなければ、勝ち星もついてこない。(日刊スポーツ評論家)