ポスティング制度を利用してメジャー移籍を目指す巨人山口俊投手(32)に対し、レンジャーズをはじめ複数球団が本格的な調査を進めていることが7日(日本時間8日)、明らかになった。

9日(同10日)に開幕するウインターミーティングを前に、FA市場の動きが水面下で加速。先発補強を目指すレ軍を筆頭に、今季最多勝右腕の周辺が一気に慌ただしくなりそうだ。

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これまでポスティングを容認しなかった巨人が、山口の意思を尊重し3日に手続きを完了したことを受け、レンジャーズが真っ先に触手を伸ばした。交渉解禁前から意向を察知し、極秘に調査を進行。獲得候補リストに入れ、水面下で折衝の準備を進めてきた。

今季、ア・リーグ西地区で首位アストロズに29ゲーム差をつけられ、3位に終わった。先発投手の補強は、最優先事項だ。今季13勝の右腕ギブソンらを獲得したが、コマがそろったとは言えない。巨人で15勝を挙げ、最多勝、最多奪三振、最高勝率の「投手3冠」を達成した山口に白羽の矢を立てた。

レ軍にとって、日本人選手は個々の能力だけでなく、他の外国人以上に存在価値が高い。ここ数年間で「トヨタ」の米国本社が、カリフォルニア南部からレ軍の本拠地アーリントン近郊へ移転。主要スポンサーとなっているだけでなく、関連企業を含め、同地の日本人コミュニティーが数万人単位で拡大したとみられている。

購買力の高い日本人ファンを呼び込める選手は、より高い付加価値を生むことが確実と見込まれている。しかも、来季は新球場「グローブライフ・フィールド」の開場1年目。イチロー、菊池、大谷ら同地区の日本人選手が遠征で訪れるたびに多くの日本人ファンが詰め掛けるなど、山口獲得へのプラス材料は多い。

現時点で、レ軍は大物レンドン三塁手(ナショナルズFA)の獲得を目指す一方、現状の2億円前後で獲得可能な山口は魅力十分。先発だけでなく、過去の救援歴からもブルペンゲームなどにも対応できそうなだけに、9日からのウインターミーティングでは各球団間の押し引きが過熱しそうだ。

◆レ軍の投手事情 レンジャーズは今季20試合以上に先発した投手が16勝の右腕リンと14勝の左腕マイナーしかおらず、補強が急務だった。そこで今オフには13勝のギブソン(ツインズFA)と12勝のライルス(ブルワーズFA)の両右腕を獲得。残す1枠を争う形だ。中継ぎ陣は今季リーグ11位の防御率4・66と不調で、セットアッパーを務めた右腕マーティン(元日本ハム)は7月に移籍。14セーブの守護神リクラクも防御率4・33と不安定だ。

◆ウインターミーティング メジャーやマイナー、独立、国外リーグなどあらゆる球界の関係者、オーナー、GMら数千人が一堂に会し、毎年12月に催される野球界最大のイベント。トレードやFA選手獲得の交渉が活発に行われ、多くの契約がこの期間にまとまる。今年はサンディエゴで開催され、8日(日本時間9日)に授賞式などのイベント、9~12日(同10~13日)に各球団によるメディア対応が行われる。