元ヤンキースの主将で名遊撃手のデレク・ジーター氏(45)が、文句なしの米国野球殿堂入りを果たした。

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米国ではジーター氏に投票しなかった記者探しが早々に始まった。投票は取材経験10年以上の記者がリストの中から10人を上限に選んで投票する形。記名式のため投票しなかったことがいずれ公になるのは明白だ。米国内でもこの記者の行動には「勇気がある」とか「名前を売りたいだけのピエロだ」などと賛否両論が噴出した。

MLBでは記者が投票するタイトルは他にもサイ・ヤング賞、MVP、新人王などがあり、いずれも記名式だ。情報開示にも積極的で、すべてがオープンになってきた。今回のジーター氏のようなケースでは説明責任が問われることにもなるだろう。それだけに投票する側は明確な理由を持ってしなければならない。

一方、日本はどうだろう? 記者投票で決まる最優秀選手、最優秀新人、ベストナイン、ゴールデングラブ、殿堂。すべて投票者の情報開示はない。その弊害か、理解に苦しむ票が生じているのも確かだ。担当球団への組織票とみられるものや、守備を評価するはずのゴールデングラブ賞なのに打撃に特化して優れた選手の票が入っていたりというのは、いっこうになくならない。

投票を画一化する必要はない。違いはあってこそ健全だ。だが、各投票者は、明確な理由をもって1票を投じるべき。無駄な票をなくし、賞の権威を高めるためにも、日本も情報開示に踏み切るべきではないだろうか。【竹内智信】