【テンピ(米アリゾナ州)6日(日本時間7日)=斎藤庸裕】納得の打率0割8分3厘だ。エンゼルス大谷翔平投手(25)が、ロイヤルズとのオープン戦に「4番DH」で出場し、2打数無安打1三振だった。6試合で12打数1安打。快音は聞かれないが、「構えている段階の投手の見え方は良かった」と、打席に立った時点での手応えを口にした。

実戦を重ねる中で、最も意識を向けていた部分だった。「構えで(勝負が)決まるかなと思っている」というのが持論。選球、タイミング、スイングの軌道、体重移動など多くのポイントがあるが、現時点の大谷にとって「一番は構え」。この日は「構えている段階でしっかり打てそうな雰囲気があった。ホームラン行けるかなぐらいの感じだった」とまで言った。

過去にも似た発言が何度もあった。打てると感じる時はどういう投手の見え方なのか「僕も分からないです」と苦笑いする独特の感覚。リード打撃コーチですら「その答えは分からない」と言うが「どう見るかは、すごく大事なこと」。打撃練習前にも、大谷は構えを確認するしぐさをよく見せる。左肘を高く上げ、バット1本分の歩幅で悠々と打席に立つ。勝負前の“準備段階”が、15打席でようやくはまってきた。

準備を整えれば、待ち構えてスイングをするだけ。「そこ(構え)さえできていれば、あとはちょっとしたところ」。この日の第3打席の二ゴロも「紙一重。ゴロになるか、ホームランになるか」という微妙なスイング軌道のズレだった。今季はまだ安打1本も「1年目は(32打数で)4本打ったみたいなので、あと3本、出るように頑張りたい」と笑い、表情も明るかった。安打という結果はもう3本で十分。つかみつつある、大事な感覚がある。