レイズ筒香嘉智外野手(28)が30日(日本時間31日)、マーリンズ戦に4番DHで出場し、5号2ランを含む4打数2安打2打点と今季4回目のマルチ安打をマークした。第1打席に右腕アルカンタラの時速143キロのチェンジアップを右中間へたたき込んだ。31日(同9月1日)からの敵地ヤンキース3連戦へ弾みをつける1発となった。

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依然、本心で喜べる状態ではなくても、筒香の口調には、少しずつ前向きなトーンが含まれていた。24日以来の5号2ラン。「いろんな準備がだんだん整って来てるのかなと思います」。結果だけでなく、感触の良さがポジティブな言葉として口を突いて出た。

開幕以降、慣れないストライクゾーンもあり、ボールを見極めようとするあまり、カウントを悪くして凡打する悪循環に陥った。本塁打の打席は初球からスイングし(ファウル)、第5打席の二塁打も初球を引っ張る積極打法。「自分の感覚の中で、良くない探り方をしながらボールを待っていた。それを解決できるように日々準備をしてきました」。

事前に相手投手の映像を見てイメージを築く作業は変わっていない。それでも、捉えたはずの球がファウルになり、凡打となった。ほんのコンマ数秒、数ミリのズレに苦しみ、もどかしい打席が続いた。米国特有の速いテンポと、個性的な投球モーションに戸惑った。「立ち遅れというよりも、投手の空間に先に入ることができていなかった」。客観的に自己分析し、タイミングの取り方など試行錯誤を繰り返した。

その結果、バランスを崩そうとするチェンジアップを、筒香本来の持ち味通り、懐まで呼び込んでアーチを架けた。31日(同9月1日)からは、優勝争いで最大のライバルでもあるヤンキースとの敵地3連戦。剛腕コール、田中と対決が待ち受ける。「投手との間合いが自分のものになってきましたし、今まで経験した引き出しも整ってきたので、全力でプレーしたいと思います」。残り25試合。一気にギアを上げるタイミングとしては悪くない。

▼筒香が大リーグ移籍後、4番打者で初本塁打。日本選手の4番アーチは、新庄(1本)松井秀(24本)大谷(7本)に次いで4人目。