エンゼルス大谷翔平投手(26)の打撃練習に、昨年から大きな変化があることが分かった。

屋外でのフリー打撃の打球方向を目視で観測し、19年と20年でそれぞれ約2カ月間のデータを集計。右中間から右方向の引っ張り打球が昨年の20%から42%と激増。柵越えも同24%から55%と大幅に増えている。データをもとに考察する。8日(日本時間9日)のレンジャーズ戦は「5番DH」で出場し、4打数1安打1盗塁だった。

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向上心から、感覚のズレが生じていた。今季、打撃不振にあえぐ大谷はメジャー初のサヨナラ打を放った4日の試合後「やりたいことが去年と違うところもあるので、その結果、ズレてきたというのもあるとは思う。去年と同じようなことをずっとやるっていうつもりはないですし、もっとよくなるように工夫して打席に立ちたい」と言った。

課題の1つは「引っ張りのゴロ」だ。昨年5月末。「ゴロになれば、アウトになる確率が高くなっている」と分析した。昨季138本のゴロのうち、安打は37本で打率2割6分8厘。引っ張ったゴロは同1割4分8厘だった。今年2月25日のオープン戦。一、二塁間へ放ったゴロについては「捉えているつもりでも(ボールの)上の方に当たって、ゴロになってしまっている」と反省を口にした。

強みである逆方向へ打たせないよう、相手は内角球や低めに沈む球でゴロを打たせてくる。ならば、それを上回る技術を身につける。レベルアップへの道中が、顕著な形で練習の打球方向に出た。【斎藤庸裕】

◆大谷の今季の試行錯誤 キャンプから右足を少し上げる「レッグキック」でフリー打撃を行い、オープン戦でも試した。開幕後は従来の足を上げない形に戻したが、8月22日のアスレチックス戦から足を上げてタイミングを取った。その後は、試合、打席ごとにタイミングの取り方を変えている。また、7月29日のマリナーズ戦ではオープンスタンス気味に構えた。9月4日からのアストロズ戦ではクローズしており、自身が大事にしている構えにも日々、微妙な変化を加えている。