パドレスのダルビッシュ有投手(34)が12日(日本時間13日)、今季3試合目の先発となる敵地パイレーツ戦で、7回3安打1失点1四球6奪三振と好投し、移籍後初勝利を挙げた。米男子ゴルフでマスターズを制した松山英樹選手(29=LEXUS)にも刺激を受け、危なげない投球でチームを4連勝に導いた。

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新天地パ軍で開幕投手を任されたエースとしての自覚が、いつも以上にダルビッシュを奮い立たせた。前日、先発左腕モレホンが故障のため、1回途中で緊急降板し、その後は救援陣がフル稼働。この日のダルビッシュに求められていたのは、少しでも長い回を投げ切ることだった。「連戦が続くし、早い回で降板するのだけは避けたいと思っていました」。

球数を考慮し「3~4回まではコンタクトしてくれるよう」配球を工夫した。相手がイメージするカットボール以上に、時速130キロ前後のカーブ、スライダーを多投し、ことごとく芯を外した。中盤以降は、一転して速球主体の力勝負。計95球で役目を終えた。

球界外からの刺激も力に変えた。前日、マスターズを制した松山が、日本スポーツ界の先導者として、ダルビッシュ、前田健太、大谷翔平の名前を挙げたことを知った。東北高卒のダルビッシュに対し、松山は東北福祉大卒だが、過去に面識はない。ダルビッシュは「自分の名前を出してくれたことが、何でか…」と少し驚く一方で、同じ海外のトップでプレーするアスリートとして敬意を覚えた。登板後は、SNS上で「遅くなりましたが、松山英樹選手、優勝おめでとうございます。おかげさまで今日の試合、気持ちが入りました」とエール交換とも言えるメッセージを送った。

次回登板は16日(同17日午前9時40分開始予定)の古巣ドジャース戦で、親交の深いサイ・ヤング賞3回の左腕カーショーと初めて投げ合うことが濃厚。「カーショーの球を打席で見るのが楽しみです」とワクワク感を隠そうとはしない。パ軍のエース、日本を代表するアスリートとして、現役最高左腕との直接対決ほど、胸躍る舞台はない。