マリナーズ菊池雄星投手(29)が4月29日(日本時間同30日)、敵地アストロズ戦に先発し、7回1死までノーヒッターを続け、1安打無失点2四球7奪三振と快投。今季5戦目で初勝利(1敗)を挙げた。過去6試合の対戦で0勝2敗、防御率6・46と天敵だったア軍相手に、敵地5戦目で初勝利を収め、チームの連敗を4で止めた。

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イメージ通りの95球だった。菊池は1回1死一塁を狙い通りに併殺で切り抜けると、リズムに乗った。「気持ちの面で落ち着くことができました」。3回には際どいコースをボールと判定され、四球を与えたものの、崩れなかった。「すべての球で、ゾーンの中で勝負できたと思います」。

6回は3者連続三振。7回1死から3番コレアに初安打となる二塁打を許したものの、後続をピシャリと仕留めた。メジャー入り後は自身最長の6回まで無安打投球に、「初回から安打は打たれたくないと思って投げているので…。気がついてない投手はいないと思います」と笑顔で振り返った。

力だけでなく、うまさも光った。全21アウト中、内野ゴロが11(1併殺を含む)、三振7、外野フライ2と、右打者8人を並べたリーグ屈指の強打線にハードヒットさせなかった。最速96マイル(約155キロ)の速球を見せ球に、20球以上の見逃しストライクを取った150キロ近いカットボールで内角を攻め、140キロ前後のチェンジアップ、130キロ台前半のスライダーを外角低めに散らした。

1-0の勝利に、サービス監督も上機嫌だった。「闘争心があったし、すばらしい仕事をしてくれた。彼はこれからも成長していくと思う」。エースのゴンザレスが負傷者リスト入りし、パクストンもトミー・ジョン手術で今季絶望に。ローテーション左腕4人のうち2人が離脱しており、菊池の快投は頼もしい限りだった。

誰よりも菊池自身が求めていた攻撃的なスタイルで、白星をつかんだ。7三振はすべて空振り。「こういう勝ち方をしたかったというものが出せたと思います。この1勝で自信を深めて、次からのマウンドに上がれると思います」。メジャー3年目。菊池が力強く、新たな1歩を踏み出した。