エンゼルス大谷翔平投手(26)が、今季初黒星を喫した登板翌日に打者でチームの勝利に貢献した。29日(日本時間30日)、敵地でのアスレチックス戦に「2番DH」で出場。5回の第3打席で貴重な追加点となる2点適時打を放ち、さらに二盗を決めて3番レンドンの右前適時打で生還した。5打数2安打2打点で今季14度目のマルチ安打をマーク。投打のリアル二刀流で出場した4試合の翌日は11打数無安打だが、投手専念の3試合なら12打数5安打、2本塁打5打点。投手大谷の翌日は、打者大谷が本領を発揮する。

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臨機応変に打者大谷が打って、走った。5回、1点先制してなお2死一、二塁の好機で、第3打席を迎えた。長打なら2点が入る場面。右腕モンタスの1球目のスプリットはワンバウンドで暴投となった。大谷は「Go! Go!」と走者に手を振って合図を送った。走者がそれぞれ進塁し、2死二、三塁。単打で2点を奪える状況に変わった。2球目、97・1マイル(約156キロ)の内角直球を捉えた。持ち味の長打ではなく、単打で確実にヒットゾーンに落とすような打撃で追加点を挙げた。

走者をかえした後は、チャンスメークに徹した。続くレンドンの3球目、二塁を狙ってスタートを切ったが、ファウル。本来なら強打者の打席で盗塁は控えてもいい状況で、チャレンジするなら100%成功させるという確実性が求められる。しかし、大谷は冷静に見極めていた。モンタスはクイックが出来ず、投球モーションが大きい。相手の隙を突き、6球目に再びスタートを切った。今季7度目の盗塁成功で、2死二塁とチャンスを拡大。直後に右前適時打で生還した。状況を判断した上で、足を生かして1点を取りにいく。理想的な攻撃で、試合を決める4点目を奪った。

前日は投手専念で今季初黒星を喫した。翌日、その雪辱を打者できっちり果たした。マドン監督は「昨日100球に近いくらい投げたのにもかかわらず、今日、彼は非常にいい状態だった。驚異的だ。ただただ違う生き物」と舌を巻いた。主軸のトラウトを故障で欠く状況で、大谷の打撃がチームの勝敗を左右する。この日は2死からつなぎ、ア・リーグ西地区首位のア軍にダメージを与えた。待機中のベンチや出塁したベース上でも白い歯を何度も見せ、笑顔が目立った。好調が続いている証しだ。【斎藤庸裕】