【アーリントン(米テキサス州)4日(日本時間5日)=四竈衛】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、レンジャーズ戦に「2番投手」でスタメン出場し、6回4安打1失点無四球6奪三振と好投。5連勝で今季6勝目(1敗)を挙げた。4戦連続でクオリティースタート(6回以上、自責3以下)をクリア。18年10月のトミー・ジョン手術を経て、ようやく本来の姿に近づいてきた。

   ◇   ◇   ◇

6勝目を手にした大谷は、少しホッとしたような表情で、率直に胸の内を明かした。打者としては3打数無安打に終わったものの、投手としては安定感抜群の内容だった。速球、スプリットに頼り過ぎず、スライダー、カットボールを丁寧に両コーナーへ散らした。「変化球で打たせて取るという感じでした」。86球中ストライク59球(69%)。22打者に対し、初球ストライクが17回(77%)と常に有利なカウントで勝負の主導権を握った。

過去4試合は、26回でわずか1四球。開幕後の4試合、18回2/3で19四球を与えた「ノーコン翔平」の面影はない。「単純に(手術をした)患部がほぐれて来たというか、最初は怖さもありましたし、それがTJ(トミー・ジョン)の難しさというのを、実戦に入った時に感じてました」。術後、投手として19年は全休、昨季はわずか登板2試合。迎えた今季は、開幕以降、本格的な「リアル二刀流」でフル回転。豪快な本塁打を量産する一方、繊細さが不可欠な投手として、フォームや技術面で、常に不安や苦悩と向き合っていた。

プレートに足を掛けると、背筋を真っすぐにして立ち、力みなく、ゆったりと始動。コンパクトに腕をたたむように修正し、制球難の克服につなげた。「テークバックを大きく取ってしまうと、制球できない。日本にいる時より球が滑るので、早めにタイミングを取ろうという感じです」。

公式戦も残り2カ月を切り、いよいよ終盤戦。「連戦もありますし、疲労もたまりやすいと感じます。患部はすごく良くなってますし、体の疲労を考慮しながらやっていかないといけないですね」。だれも経験したことのない「二刀流」で駆け抜けるフルシーズン。投打ともに、最高レベルを求め続ける大谷の姿勢は、変わっていない。