パイレーツ筒香嘉智外野手(29)が21日(日本時間22日)、敵地カージナルス戦に「4番一塁」でスタメン出場し、自身メジャー初の2試合連発となる2号ソロを放った。7回にも適時打を放ち、4打数2安打2打点と勝利に貢献した。いずれも左腕からの価値ある一打。今季は移籍続きだったものの、新天地でようやく本来の力強さを取り戻してきた。

    ◇    ◇    ◇

迷いもためらいもないスイングこそ、筒香本来の勝負勘の表れだった。第1打席は、フルカウントからの速球に空振り三振を喫した。仕留め損ねた悔しさを、珍しく隠せなかった。だからこそ、同じ失敗は繰り返さない。迎えた第2打席。先発左腕ハップの89・7マイル(約144キロ)の速球を、中堅バックスクリーンへたたき込んだ。狙い澄ましたような初球。会心の一撃は、メジャーに適応し始めた表れだった。

パワーだけでなく、技も披露した。再逆転に成功した7回2死一、二塁。救援左腕カブレラの時速97・7マイル(約157キロ)の外角低め速球を、コンパクトなスイングで左中間へ運び、貴重な追加点を挙げた。

レイズ在籍時は、チームの方針もあり、相手先発が左腕の場合、ベンチスタートが大半。だがDeNA時代から左腕を苦にしない筒香にとって、右投手以上に調子のバロメーターを計る重要な機会だった。肩の開きを極力抑え、ぎりぎりまで引きつけようとする左腕との対決は、チェックポイントのカギだった。

また筒香の課題とされたのが95マイル(約153キロ)を超える速球への対応。この日の2安打は、左腕&快速球と、ボーダーラインの課題を一気に克服する重みのある内容だった。シェルトン監督は「今夜もいいスイングだった。価値ある打席が続いている」と高評価。「日本で長打を打っていたのは知っているが、時には時間がかかることもある」と、あらためてニュー筒香への期待感を口にした。

前日の今季初アーチをはじめ、パ軍移籍後は5試合で13打数5安打、打率3割8分5厘と存在感を示している。さらに5安打中4本が長打(本塁打2本、二塁打2本)。残り1カ月あまり。ポストシーズン争いとは無縁でも、筒香の戦いは、これから本番を迎える。