【アナハイム(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、103年ぶりの大記録に王手をかけた。レンジャーズ戦に「2番投手」で出場し、今季20度目の登板で最多の117球、7回7安打2失点で9勝目を挙げた。4回のピンチでは最速100・5マイル(約161・7キロ)の直球で攻め、無失点。流れを引き寄せた。本拠地11戦で防御率2点以下は、球団では史上初(6勝0敗、防御率1・99)となった。自身8連勝で1918年にベーブ・ルースが記録した「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」まであと1勝。歴史的な記録達成は目前だ。

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ギアを上げる大谷は最後まで変わらなかった。同点の4回1死二、三塁、前の打席で本塁打を浴びた8番打者を100・4マイル(約161・6キロ)の直球で空振り三振。続く9番には、この日最速の100・5マイル(約161・7キロ)をマークした。メジャー最多117球。7回2死一、二塁からのフィニッシュも160キロを計測した。「余力はありました。抑えてイニングを切ることが出来たので良かった」。スタミナ切れを感じさせない力投を演じた。

1回には打球を右手のツメ付近に受けたが動じない。100マイル以上は公式戦では今季初登板の4月4日以来、5カ月ぶり。日々のルーティンの継続で状態を維持し、再び大台に乗せた。グラウンド上での投手調整では壁当てを欠かさない。今季から色や大きさ、重さが異なるボールで行い、ノーステップや内股の状態から投げる方式など、トレーニング法は6種類。「重さ、大きさの違うボールを投げることによって、動きのセンスというか、うまさみたいなものはやっぱり出てくる」。地道な動きの繰り返しだが、コンディションを維持するためには「なるべく、やることを継続してできれば」と話した。

残り1カ月。状態だけでなく、メンタル面も鍵を握る。「モチベーションを高く維持していくというのはチームとしても個人としても、なかなか難しい部分はある」。プレーオフ進出は現実的に厳しく、今後は来季を見据えた試合が続く。それでも「どれだけ1試合1試合多くプレーできるかというのが、今は大事」と、戦う姿勢は変わらない。7回を投げ切り「自分自身の自信にもなる」と、精神面でプラスとした。

ベーブ・ルース以来、103年ぶりの快挙まであと1勝。順調なら登板は残り4試合となる。メジャー初、自身5年ぶりの2ケタ勝利へ向け「大きな違いかなとは思いますけど、防御率やWHIPだったり、個人的に投手のスキルを測るところの方が大事な部分かなと」。いつもと変わらず冷静に。自分らしさを貫く。