レッドソックス沢村拓一投手(33)が、日刊スポーツ連載「ありのまま」の第4回をお届けする。昨年の9月7日。巨人からロッテへの電撃トレードが発表された。あれから1年。メジャーリーグの名門レッドソックスのリリーフとして、50試合に登板し、4勝1敗、防御率3・09と活躍する。新型コロナウイルスの陽性判定を受け、一時チームを離れたが、すでに合流。今思うことを聞いた。【取材・構成=久保賢吾】

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-トレードから1年。当時を振り返って

当時は「沢村は終わった」って、言われてましたからね。トレードが決まった時、ジャイアンツで必要とされる人材になりきれなかったから、ロッテでは必要とされる人材になりきりたいなという思いはありましたね。

-メジャーは移籍市場が活発。その現状をどう受け止めているか

今年1年間で何人ですかね。慣れなくちゃいけないと思いますけど。1試合投げただけでマイナーに行って、DFA(40人のロースター枠から外れる)になって、FAになって、どっかが取ってみたいなことが日常茶飯事に起きますからね。ただ「勝ちたい」とか「優勝したい」とかいう気持ちに全員が全員向けるのは、本当にすごいことだなと思います

-それはどういう場面で実感するか

ガッツポーズとかですね。「野球を楽しめ」って言うんですけど、本質的に正直楽しくなんかないんです。優勝した瞬間とか、勝った瞬間は良かったなっていう感情は芽生えますけど、それが楽しいと言っちゃうとなんか違うんです。少年野球の野球教室とか、学生を教える時に、「楽しいからプロ野球選手になれよ」なんて言えないですし、自分が幼いころからやってきた野球を仕事にした瞬間から、楽しいことなんか一切ないです。

例えば、ある選手は1打席1打席、喜怒哀楽がすごいんですよ。打てなかったらションボリして、打てたら、スキップするように跳ねたり。勝ったらうれしそうで、負けたら悲しそうで。表情豊かなんです。そういう姿を見ると、自分が少年野球の時に土日がすごい楽しくて、朝7時に早起きして、グラウンドに行って、試合とか練習してた時の気持ちに少しなれるような気がするんです。

-そういう選手の存在に影響を受けたり、変わったことは

自分は変化はないですね。そういう気持ちは大事だなと思います。最近、思うのは(中日の)木下雄介くんが、面識はないんですけど、インスタグラムをフォローしてくれてたんですけど、何でそれに気づけなかったのかなって。気づいていれば、野球の話でも、何でも何か話せたんじゃないのかなって、思っちゃって。生きたかった人が生きたかった今日とか、明日を前向きに生きていかなくちゃいけないなと思います。(レッドソックス投手)