パイレーツ筒香嘉智外野手(30)が8日、日本ハムのドラフト1位達孝太投手(17)を絶賛した。

オンラインイベント「野球界の未来について語ろう」に出席。達は昨春のセンバツ甲子園に天理(奈良)のエースとして出場。脇腹を痛めており、準決勝の登板を回避し、チームは敗れた。筒香は「達投手は投げなかったのが正解とか不正解ではなく、自分の体調、決断をしっかり伝えられたことが素晴らしい、勇気ある行動だったと思う」と褒めたたえた。

自らも横浜(神奈川)の内野手として、甲子園に出場した経験を持つ。「勝てば決勝、優勝も見えてくる。チーム全体もそれを望んでいる。その中で1度負けたら終わりのトーナメントの大会で、エース投手の期待は、本人も大きく感じると思う。その中で、体調がよくないと指導者に伝えられた勇気は、非常に素晴らしいことだと思う」。当時の達の心境を思いやった。

筒香は、高校野球全体にこうした流れが広がることを望んだ。「僕自身もそうだったが、高校生の段階は発展途上だと思う。プロ野球選手になっても毎日万全ではない。発達途中の高校生ならなおさら。達投手は勇気があったと思うが、みんなができる簡単なことではない。指導者には選手が話しやすい、コミュニケーションを取りやすい環境をつくってほしい。連盟の方も大会の方式を含め、大人が知恵を絞るべきだと思う」。指導者が選手に接する姿勢、トーナメント中心の大会運営にも疑問を投げかけた。その上で「子供たちの環境をつくるのは大人の仕事。子供たちが勇気を出した事例があるので、大人も変化を恐れない必要がある」と伝統や運営の都合に縛られない、球児ファーストの姿勢を求めた。【斎藤直樹】