MLBはロックアウトが続き、労使紛争終結、キャンプ開始、開幕のめどが立たない。分かりにくい今回の論争を「MLB労使紛争の争点を探る」と題し、ニッカンスポーツコムで紹介していく。第1回は「最低年俸」について。
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再開された交渉での争点の1つに、メジャーリーガーの最低年俸の引き上げがある。21年の最低年俸は57万500ドル(約6280万円)だった。選手会側は77万5000ドル(約8525万円)へ引き上げるように提案。オーナー側は当初、60万ドル(約6600万円)を提示したが、61万5000ドル(約6765万円)へ修正した模様だ。
その後、メジャー登録1年未満の選手に61万5000ドル、1年以上2年未満の選手に65万ドル(約7150万円)、2、3年目の選手に70万ドル(約7700万円)を提示したと伝えられている。
メジャーでは一部のトップ選手(スーパー2)を除くと、多くは3年目を終えた時点で年俸調停権が得る。3年目までの選手は年俸が最低近くに据え置かれるケースも多く、若手選手にとっては重要な問題となる。
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MLB担当記者が、最低年俸について話し合った。
記者A「若手の待遇を上げることは、選手会にとっては今回の交渉で絶対譲れない目標のようですね」
記者B「最近は20歳前後でメジャーデビューしていきなりトップクラスの活躍をするゲレロ(ブルージェイズ)、タティス(パドレス)、ソト(ナショナルズ)、アクーニャ(ブレーブス)といった選手もいますし、活躍する若い選手が多いですからね。アクーニャなんて2年目の19年に41本塁打、101打点、リーグ最多の37盗塁でしたが、ほぼ最低年俸の56万ドル(約6160万円)でした」
記者C「年俸が活躍に見合っていないですね。でも調停前はほぼ最低年俸というのが今のシステム」
記者A「この現状を考えると選手会側が最低年俸の金額で妥協することはあまり考えにくい。あるいは妥協する代わりにボーナスプール金をオーナー側に引き上げさせるかですか」
記者B「選手会役員のシャーザー投手(メッツ)は、若い選手が自分たちの市場価値がもっと高いことに気づき、サービスタイムの操作やタンキング(低迷球団が主力選手を放出し、有望株のトレード獲得などで、優勝争いをあきらめてチーム再建を図ること)を許さないシステムに変えたいとツイッターで宣言していました」
サービスタイムとは、26人のロースターと故障者リストに登録されているメジャーの登録日数を示す。172日分を蓄積すると、1年分としてカウントされる。選手はフルタイムで登録されていくと6年目を終えた時点でFA権を得るが、球団が新人のメジャー登録時期を遅らせることで、FAになる年を1年先延ばしできる。この行為が「サービスタイム操作」として俎上(そじょう)にある。
記者C「サービスタイム操作は以前から米メディアでも問題視されていました。選手会はこの交渉で、トップ有望株の新人を1シーズンフルでメジャーに昇格させておく球団にはドラフト指名権を与えるという提案も出しているとMLB公式サイトの記事に出ていました。選手会は、若手の待遇アップのためさまざまな案を出しています」
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次回は「ボーナスプール」について。



