米大リーグ史上初めて両リーグでサイ・ヤング賞を獲得したゲイロード・ペリー氏が1日、サウスカロライナ州の自宅で老衰のため死去した。84歳だった。

ジャイアンツなど8球団で通算314勝265敗、3534奪三振。球につばやワセリンなどを付けるスピットボールの使い手としても有名だった。

通算314勝は史上17位、通算3534奪三振は8位という、名投手が逝った。72年にア・リーグのインディアンスで、78年にナ・リーグパドレスでサイ・ヤング賞を獲得。両リーグでの受賞は初めてだった。押しも押されもせぬ実績で殿堂入りしているが、その名を伝説として知らしめたのは、スピットボールの使い手としてだ。

帽子を触って、こめかみをなでて、投球した。現役でインディアンスに在籍していた1974年には「Me and the Spitter」(私とスピットボール)という自伝を出版している。MLB公式サイトによると、不思議に曲がりを見せる投球を同僚のボブ・ボリン投手は「ハードスライダー」と呼んだが、一方で「(同世代の打者である)ハンク・アーロンや他の選手はそう呼ばないだろう」と話している。ファウルボールが当たったバックネットには、グリースがべったりついた、とも言われている。

2016年、ジャイアンツの本拠地でペリーの銅像の除幕式が行われた。スピーチの最後、ペリーは参列者に対し、座っているイスの下を見るように言った。参加の記念品として、チューブのワセリンが貼り付けられていた。