【メサ(米アリゾナ州)10日(日本時間11日)=四竈衛】招待選手からメジャー入りを目指すレンジャーズ筒香嘉智内野手(31)が、初のオープン戦となる敵地アスレチックス戦に途中出場し、3打数2安打3打点と絶好のスタートを切った。5回の守備からの途中出場だったが、きっちりと答えを出した。

日本中が侍ジャパンのプレーに沸く中、「元侍の4番」が、今季初陣で快打を重ねた。前夜の日韓戦は同地午前3時開始とあって睡眠中。結果は起床後に知った。「4番」を務めた17年の前回大会では、準決勝で米国に惜敗。悔しさは今も忘れていない。「もちろん勝ってほしいと思いますし、同じ日本人として本当に楽しみにしてますので、ケガだけは心配ですけどね。日本中の皆さんがプレーヤーの姿を見ていろんな活力になると思うので、僕自身も楽しみにしています」。

侍ジャパンとはプレーする場所こそ違えど、球界の発展を願う気持ちは変わらない。そのためにも、今の筒後は結果を残し続けるしかない。この日は、6回の初打席で中堅左へ2点適時打。8回には中越えの適時二塁打を放ち、強烈にアピールした。「想定していたよりも良かった。しっかり球を見極めた中で振れているという感覚です」。昨年9月以来約半年ぶりの実戦を、幸先よくマルチ安打で滑り出した。

渡航ビザ取得が遅れ、チームに合流したのはキャンプインから約2週間後の5日。だが、渡米4年目の筒香に焦りはなかった。「不規則なのが普通なので」。1年目の20年はコロナ禍でキャンプが途中で打ち切られた。2年目は規制緩和が進んだものの、グループ別の練習などに規定された。さらに、3年目の昨季はロックアウトで大幅に期間が短縮されるなど、これまで万全のキャンプを終えたことがない。ただ、無用な気負いもない。

「今までレギュラーを確約されて入ったキャンプもない。そこに対しての一喜一憂はないかなと。もちろん、結果を出さなきゃいけない立場。それは分かっているんですけど、自分がやるべきことをしっかりやるということですね」。

自分がやるべきことをやる--。

日本屈指のスラッガー筒香は、今も「侍の魂」を忘れることなく、生き残りをかけた戦いに挑んでいく。