エンゼルス大谷翔平投手(28)が、2打席連発でチームを13安打12得点の大勝に導いた。

ホワイトソックス戦に「3番DH」で出場。第2打席で14号2ラン、続く第3打席でも15号2ランを放った。1試合2本塁打は今季初で、2本目の飛距離は459フィート(約140メートル)。15本はヤンキース・ジャッジの18本に次ぐリーグ2位に浮上した。2戦3発のお目覚めは、“原点回帰”がもたらした。

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大谷はほおをふくらませ、体をのけぞらせ、目いっぱい力を入れた。4回1死二塁、フルカウントから右腕リンの内角高め93・4マイル(約150キロ)の直球を鋭くさばいた。「いい球をしっかり打てているので良かった。四球も最後、しっかり見えているので、いいかなと思います」。2戦3発も、本塁打だけにとらわれない。続く4打席目の四球で手応えを口にしたあたりに、らしさがにじみ出た。

その理由もうなずける。19日から29日までの10試合で打率1割3分5厘。「構えている段階の見え方、ずっとそうですけど、それが一番」と、視界が改善された。一貫して、打撃で最も重要視している構え。原点に立ち返った。「今回はグリップだったりいろいろありましたけど、上げた方がいいときもあれば、下げた方がいい時もあったりとか、それはその時によって違う」と、今カード3連戦で数センチの微修正を加えた。

2戦目から、バットを持つグリップエンドの位置を下げた。1戦目は右手が目線の高さにあり、左手は頭上のラインを越えていた。だが、2戦目以降は右手を目線の下まで下げ、左手は頭上のラインの下にあった。「感覚は昨日くらいが一番、変わって良くなっているかなと。それをしっかり継続するのも難しいですし、また同じようになった時、戻すのも難しいので」。厳しく攻められ、徐々にズレが生じる。各球場の打席の踏み場や視界によっても変わる。数センチ、数ミリの修正を繰り返す作業が続く。

この日は大谷だけでなく、2番トラウトが1回に13号先制2ランを放ち、打線を勢いづけた。今季5戦不敗となった「トラウタニ弾」。ともに今季最長の特大弾で派手に飾った。「いい構えなら難しいボールに対しても素直にバットが出てきたりするので、一番はそこかなと思います」と振り返った大谷。1発目は内角、2発目は内角高めを捉えた。刀を鋭く、瞬時に抜いたような強烈な一振り。かぶとを2度かぶった侍に、力強さが戻った。【斎藤庸裕】

▼大谷が3、4回に今季初の1試合2本塁打。1試合2発は22年9月5日タイガース戦以来で、日本人選手最多を更新する通算13度目(2位はイチローの7度)。1試合2打席連発は22年5月29日ブルージェイズ戦以来6度目。こちらの日本人最多はイチローの7度で、あと1度に迫った。