【デンバー(米コロラド州)9日(日本時間10日)=四竈衛】パドレスのダルビッシュ有投手(36)が、メジャー通算100勝を達成した。

ロッキーズ戦に先発し、6回途中4失点と苦しみながらも、打線の援護もあり、今季5勝目(4敗)を挙げて節目の数字に到達した。日本人選手では、通算123勝の野茂英雄以来、史上2人目。今後は、あと「7」と迫った日米通算200勝(NPB93勝)に挑むことになる。

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職種を問わず、どんな業界にも「社交辞令」や「決まり文句」は少なくない。だが、ダルビッシュの言葉には、余計な飾りがないだけではなく、裏表がない。米移籍後、100勝目までの道のりを振り返った際、迷うことなく、何よりも大切にしてきた思いを明かした。「家族の存在というのは、やっぱり僕の中では本当に大きいので、妻をはじめ、子供たち、前妻との子供を含め、そういうところでずっと支えられて今があるので、本当に自分の力がほぼない中で、そうやってやってもらっているので、本当に感謝しています」。

ダルビッシュの「家族愛」が、特別というわけではないのかもしれない。ただ、世間的にはスター街道を歩んできたように映っても、弱音を吐きそうになった時、もつれた心を解きほぐし、背中を押してくれる存在が、家族だったに違いない。節目の数字に達したダルビッシュの言葉は、シンプルでも、耳の奥に染み入るようだった。【MLB担当=四竈衛】