【アナハイム(米カリフォルニア州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)がマリナーズ戦に「2番DH兼投手」で出場し、5回3安打3失点で勝敗はつかなかった。6四死球など今季ワーストの投球と自己評価したが、打者としては17号2ランを含む4打数3安打2打点でチームの5連勝に貢献。苦しむ投球を助けたのは二刀流の力だった。

立ち上がりから、違和感があった。「全体的に体が動いていなかった」。速球系の球速は平均で1・9マイル(約3キロ)下がった。変化球にもキレがなく、2死一塁では4番ケレニックには甘く入ったスイーパーを完璧に捉えられた。「初回から、今シーズン一番悪いんじゃないかというくらいの出来だった」。1イニングで3四球と制球も乱れた。

前回から中6日で登板したが、今季は基本的に中5日で先発し、5月以降から打ち込まれる登板が目立っている。疲労による影響を指摘されたが「登板数的には去年、一昨年に比べて多い方なので、そういう意味では、そう思うときもあるかなとは思いますけど、そんなに気にはなってはいない。ここまで健康できているので、それを最後まで続けたい」と意欲を見せた。

今季を象徴するように、二刀流で挽回した。第1打席から安打、本塁打、二塁打、一ゴロで今季4度目の「サイクル安打未遂」。偉業はならずも、3安打をシーズン4度以上記録した投手は殿堂入り左腕ウォーレン・スパーン(元ブレーブス)以来、65年ぶりの快挙だった。「バッティングの方は良かったかなと。チームが勝ったので、それが何よりかなと思います」。今季ブレーク中の若手モニアクの決勝弾で5連勝。「僕もまだまだ若いと思っているので、そういう気持ちで頑張りたい」。チャレンジは終わらない。

▽エンゼルス・ネビン監督(大谷の投球について)「5回までしか投げられなかったが、我々に勝つチャンスをくれた」

▽マリナーズ・サービス監督(打線について)「準備はできていて、序盤から大谷を攻略できたと思う。ただ、大きな得点を奪うことができなかった」