【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(29)が、今季32号本塁打で前半戦を締めくくった。

ドジャース戦に「1番DH」で出場し、7回の第4打席で中越えに2ラン。29歳初アーチをドジャースタジアムに初めて刻み、松井秀喜を超える22球場目の1発となった。第5打席で二塁打が出ればサイクル安打だったが、左犠飛で今季6度目の未遂に終わった。4打数3安打3打点も、チームは大敗で5連敗。故障者が続出する苦しい状態のまま、借金1で前半戦を折り返した。

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笑顔もない。恒例のかぶとパフォーマンスもない。大谷は淡々とダイヤモンドを回った。2-9で大敗の展開。それでも、集中力は切れない。7回2死一塁、右腕グローブの低めスライダーを狙い澄ましたかのようにフルスイング。中堅手アウトマンが一瞬打球を見失うと、瞬く間にスタンドへ突き刺さった。沈む自軍を鼓舞するかのような今季32号2ラン。だが、流れは取り戻せず、孤軍奮闘の姿がさみしくも映った。

響いた快音とともに、一斉に沸いたスタジアム。5万3057人のファンから拍手喝采を浴びた。ド軍の5本塁打で盛り上がる一方、大谷が1人、エ軍側で光った。ネビン監督は「苦しい試合が続いていた中で、彼は前半戦を通じて我々を明るく照らしてくれた」と評価。この日は投手陣が大量失点し、守りでも精彩を欠くプレーが目立った。左有鉤(ゆうこう)骨の骨折でトラウトが離脱し、最近10戦で9敗と一気に下降線をたどるチーム状況。エ軍が一貫して否定している今夏期限でのトレードについて、可能性の有無を報じる米メディアも増えてきた。それでも試合開始から終了まで、全力プレーに徹する大谷はブレなかった。

プレーボール直後の第1打席、左腕ベシアの初球、外角直球を中前に運んだ。前日、3球3振に仕留められた同投手を先発に抜てきした敵将ロバーツ監督の奇襲を、あっさり打ち砕いた。第2打席は右中間を超速ライナーで抜き、三塁まで激走した。第4打席までで安打、三塁打、本塁打をマークしたが、第5打席は9回1死満塁から左犠飛。今季6度目のサイクル未遂で、前半の91試合を終えた。

シーズン56発ペースの本塁打数でリーグトップを独走し、6三塁打も両リーグ単独トップとなった。打率を再び3割台に乗せ、打撃3冠も夢ではない。ネビン監督は試合前、「ベストプレーヤーだ。チームの勝ちにつながる打撃をすることが、最も大事なことだと理解している。前半を総括して、彼がMVP」と断言した。オールスター出場を挟んで14日(日本時間15日)、後半戦初戦のアストロズ戦は大谷が先発。万全の二刀流で再スタートを切る。

<大谷の前半戦記録アラカルト>

◆唯一で2度目 球宴前に32本塁打と11盗塁以上をマークしたのはMLB史上では大谷だけで21年に続き2度目(エンゼルス広報より)。

◆史上5人目 球宴前に32本塁打以上を2度以上記録したのは大谷が史上5人目。過去にベーブ・ルース、マーク・マグワイア、バリー・ボンズ、ケン・グリフィー・ジュニア、サミー・ソーサが達成している(コディファイ・ベースボールより)。

◆準サイクル あと1安打でサイクルは大谷が今季6度目。球宴前に6度の準サイクルはMLB史上最多タイで、デューク・スナイダー(54年)、ウィリー・スタージェル(75年)、ロッド・カルー(77年)の殿堂入り3選手に並ぶ(スタッツ・パフォームより)。

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