エンゼルス大谷翔平投手(29)が、“魔法”を解き放つ3安打を放った。フィリーズ戦に「2番DH」で出場し、フ軍の最強マスコット「ファナティック」にちょっかいを出されながらも3安打2打点。第5打席では今季の自己最速、メジャー最速タイとなる打球速度118・6マイル(約191キロ)で適時二塁打を放った。打率3割7厘に上げ、今季94打点としたが、チームは逆転負けで3連敗。試合前には主力6選手のウエーバー公示が明らかになり、終戦決定モードとなった。

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試合開始の直前、準備に集中する大谷の目の前をちょこまか動く刺客がいた。マスコット界の殿堂入りを果たしているフ軍の球団キャラクター、ファナティック。何やら、大谷にアピールしていたようだ。右へ左へ、正面へ。そしてドーンと、見せてやった。キミの絵だ!どうだ、似てるだろ-!と聞こえてきそうな突然の“奇襲”に大谷はニンマリ。悪くないね、と言わんばかりのジェスチャーとスマイルを見せた。

前日も、試合前に挑発された。ファナティックはしゃべることができないが、親友歴13年のトロイ・サッティンさん(37)が意図を代弁した。「ビッグスターへの感謝と歓迎だよ。オオタニには少し、ちょっかいを出していたけどね。ファナティックは、嫉妬していたようなんだ。カメラマンたちがみんな、彼の写真を撮りにいくから、自分に注目してくれない、とね」。前日、大谷に実際に何をしていたのか。「魔法をかけたんだ。シグナルを送った。視線が自分に戻ってくるようにと」。確かに、大谷に絡む姿は注目を浴びた。

だが、魔法は効かなかった。前日は第1打席で強烈な中前打を放ち、この日は3安打。9回の第5打席では今季自己最速の打球速度118・6マイル(約191キロ)で右中間を破る適時二塁打を放った。言葉を交わすことは出来ないが、ボディランゲージとフィーリングで会話を理解するサッティンさんによれば、「ファナティックは彼をもちろんリスペクトしているし、素晴らしい選手だと知っている。彼のベストを祈っていると思うよ」。魔法よりも幸運を願う気持ちが、大谷のバットに乗り移った。

チームが来季の編成に向けてかじを切った一方で、2打点を稼いで今季94打点。3安打で打率も3割7厘に上がった。自軍の解体にも、相手の奇襲にも動じない。快音を響かせた大谷が、やっぱり注目を浴びた。【斎藤庸裕】

◆フィリー・ファナティック フィリーズの球団マスコット。1978年4月25日のカブス戦でデビュー。名前の由来は本拠地フィラデルフィアの愛称「フィリー」と、狂信的なファンを意味する「ファナティック(Fanatic)」を組み合わせたもの。Phで始まるフィラデルフィアのスペルにかけて、あえて「Phanatic」の表記になっている。初代“中の人”のデーブ・レイモンドさんは16年間ファナティックを演じ、現在は2代目のトム・バーゴインさん。18年には神宮を訪れ、つば九郎とドアラと共演した。198センチ、136キロ。