マッチレースのナ・リーグ新人王争いが白熱してきた。メッツ千賀滉大投手(30)が20日(日本時間21日)、敵地マーリンズ戦に先発し、6回を7安打2失点で12勝目(7敗)を挙げた。毎回走者を背負う苦しい内容ながら、ワイルドカードを争う難敵マ軍にリードは許さなかった。リーグ新人部門では、勝利数、奪三振など主要成績で1位を独占。今季最終登板が見込まれる次回登板で日米通算100勝、規定投球回162、200奪三振のトリプル大台クリアに挑む。

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ジャスト100球、2点のリードを守って6回を投げ終えた千賀は、笑うことなくダッグアウトへ歩を進めた。今季16度目のクオリティースタート(先発して6回以上、自責3以内)をクリアしても、不本意そうな表情を浮かべた。「なかなか満足いくようなレベルではなかった」と自己評価は厳しかった。

序盤から本来のリズムに乗り切れなかった。代名詞のフォークも空振りが奪えず、奪三振も10戦ぶりに5個を下回った。また6イニング中5回、先頭打者に出塁を許した。3-1の5回には連打を浴びたが、右翼マクニールが2補殺の好守で失点を防いだ。「守備のいいプレーに助けられた」と感謝した。

一方で、メジャー1年目から出色の領域に足を踏み入れた。防御率2・96はスネル(パドレス)に次ぐ2位。両リーグを見渡しても、同2点台は4人しかいない。日米99勝で、シーズン200奪三振まで「6」、規定投球回にも「2アウト」と迫った。新人王争いでは、キャロル(ダイヤモンドバックス)と一騎打ちの展開。サイ・ヤング賞候補の一角にも挙げられており、1位票でなくとも、上位に食い込む可能性が高くなっている。

今季最終登板となりそうな27日(同28日)の本拠地マーリンズ戦では、「分かりやすい数字なのでクリアしたい」と、日米通算100勝を含め3つの大台到達に挑む。トリプル達成なら、新人王争いにも追い風だ。プレーオフ進出は絶望的な「消化試合」でも、「こういう試合を少なくすることが、来年の課題だと思う」と気の緩みはない。試合後は新人の恒例行事となっている仮装で、宇宙飛行士に扮(ふん)して移動した。「みんなが笑ってくれれば全然いい。面白くなれば」と気分をリフレッシュさせていた。

 

▼千賀が今季194奪三振。日本人投手の1年目では95年野茂(ドジャース=236個)、07年松坂(レッドソックス=201個)、12年ダルビッシュ(レンジャーズ=221個)に次ぐ4人目の200奪三振へあと6個となった。防御率はナ・リーグ2位。日本人投手は1年目に限らず防御率トップで終えた例がなく、最高は95年野茂(ドジャース)と20年ダルビッシュ(カブス)の2位。このまま2位で終えれば最高順位に並ぶ。

 

○…MLB公式サイトが発表した最新の新人王予想オッズでは、メッツ千賀は14倍で2位につけている。1位は25本&50盗塁を達成したキャロル(ダイヤモンドバックス)で断トツの1・01倍。3位は151倍でスティア(レッズ)アウトマン(ドジャース)マクレーン(レッズ)が並んでいる。

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