エンゼルスからFAとなっている大谷翔平投手(29)が、MLB史上初となる2度目の満票MVPに輝いた。16日(日本時間17日)、BBWAA(全米野球記者協会)所属の記者による投票結果が発表され、30人全員が1位に選出。21年シーズン以来2年ぶり、ともに満票の快挙となった。

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エンゼルスとブルージェイズの試合で敵地カナダ・トロントへ同行していた7月末。BBWAAのロサンゼルス支部に属する米国人記者から試合前に突然、話しかけられた。「ヘイ、君は今年、ア・リーグのMVPが担当だよ」。一瞬、ドキッとした。主要4タイトル(新人王、最優秀監督、サイ・ヤング賞、MVP)の投票の話題だった。

約2週間後、BBWAAから正式にMVP投票を担当する通知が来た。いかなる理由でも投票の拒否権があるようだが、既に腹は決まっていた。大谷は本塁打トップを独走し、8月9日に史上初の2年連続「2桁本塁打&2桁勝利」を達成。7月27日には、タイガースとのダブルヘッダー第1試合で完封し、第2試合で2打席連続アーチを放つ伝説を作り上げた。驚異的な投打の活躍に正直、対抗馬はいないと思っていた。

投票結果は発表と同時に、どの記者が、どの選手に票を入れたか、名前と会社名を含めて公表され、それ相応の責任が伴う。各リーグ15支部、それぞれ2人が主要4タイトルのいずれかの担当に指名される。BBWAAによると「投票権を持つ記者に明確な条件はないが、初年度は新人王か、最優秀監督の投票に割り当てられ、その後、サイ・ヤング賞やMVPの投票を任される」。今年、担当が割り当てられた日本人記者では4人のうち、唯一のMVP投票となった。

記者にとっては19年以来2度目だった。その時とは違い、即座に大谷の名前が頭をよぎった。9月はほとんど欠場したが、1位投票は揺るぎない。それだけ価値ある活躍ぶりだった。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆メジャーリーグのMVP投票 各都市にいる全米野球記者協会の30人が投票し、各リーグで最多ポイントを獲得した選手が受賞する。10位までを選び、1位は14点、2位は9点、3位は8点と以下1点ずつ減っていく。各記者の投票行動はBBWAAのホームページで公表される。

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