【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=四竈衛、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、今季初の3連敗を喫したチームを代表し、巻き返しへの意欲を語った。本拠地でのメッツ戦に2打数1安打3四球と4度出塁したものの、チームは追い上げ及ばず惜敗。“ゴジラ超え”となるメジャー通算176号への意識ではなく、自軍の勝利へ強い思いを明かすなど、新リーダーとしての姿勢をのぞかせた。

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敗因として責められる結果ではなかった。むしろ、5打席で4度出塁。それでも大谷は取材対応を行った。過去2年は基本的に1週間に1度、登板日に対応することがベースで、それ以外となると1試合何発、何戦連発、決勝打や歴史的記録など“ドラが乗った”時に囲み取材が行われていた。だが、この日は少し状況が違った。負けゲームかつ、2打数1安打3四球。日本人の記録を更新する本塁打も出なかった。

うまく表現するのは難しいが、どこか雰囲気が変わったのは気のせいではないだろう。試合前後のクラブハウスでは、チームスタッフと直接、英語でコミュニケーションを交わす姿が多々見られる。水原一平容疑者との離別が影響しているとは言い切れないが、少なくとも心境の変化が表情や行動に表れている。

今回はメディア側ではなく、チーム広報からのリクエストを快諾したようだ。3連敗で、気分は良くなかったはず。ただ、連日、粘りを見せる攻撃に「自信を持っていい」と胸を張った。エ軍時代の終盤に、若手選手が多かったチームを鼓舞するのとは意味が違う。プレーオフ経験者がほとんどの強豪球団で、フリーマン、ベッツらベテランのチームリーダーと同じ立ち位置にいる。

負けが続く状況で代表して取材に応じる姿は、昨年まで同僚だったエンゼルスのマイク・トラウト外野手(32)とも重なる。トラウトは今年2月下旬、「もっともっと年を重ねて慣れていけば、彼も言葉で表現するようなリーダ-になれる」と言っていた。風格だけではなく、言葉の力も兼ね備えた存在感。環境が激変した開幕から1カ月で、早くも新しい大谷の姿が見えてきた。【MLB担当=斎藤庸裕】