【セントルイス(米ミズーリ州)17日(日本時間18日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、メジャー7年目で日本人初となる全30球団からの本塁打を記録した。カージナルス戦に「1番DH」で出場。5回に右翼へ4試合ぶりの一発となる38号ソロを放ち、「アーチ」をランドマークとする同地で初アーチを架けた。また、2盗塁を加えて今季37盗塁。史上6人目となる「40本塁打&40盗塁」達成が、いよいよ秒読み段階に入ってきた。

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広大な米国を縦断するミシシッピ川を見下ろし、ブッシュスタジアム中堅後方にそびえ立つ「ゲートウェイ・アーチ」とは異質の、放物線だった。5回。パランテのナックルカーブをとらえた大谷のバットが、角度21度の低空アーチをはじき返した。右翼ヌートバーが、一瞬反応しただけで追うのをあきらめた時速180キロの高速打球は、緩やかな傾斜のまま、敵軍ブルペンへと消えた。

「結果的に本塁打になってくれてよかった半面、他の打席ももうちょっといいクオリティーの打席にしたいと思ってます」

8月以降は打率1割台にあえぐだけに、試合後の大谷は淡々と振り返った。メジャー屈指のアーチストになっても、飛距離や打球速度、角度を問わず、フェンスを越えれば、同じ一本のアーチに変わりはない。過去数週間、下降気味だった要因を「動き方じゃないかと。構えてる段階でいい未来があまり見えてない感じではあるので」と振り返る表情にも、心なしか安堵(あんど)の色が浮かんだ。

ただ、周囲が騒ぐほど悲観的でもなかった。5打数無安打に終わった前夜は、第1打席に11球粘り、その後の二直、遊ゴロも、快音を残しながら打球が正面を突く不運も重なった。「いい打球を打っても、結果的にアウトになる打席がちょっと今月は多かった。いい打席がいい結果になるかならないかで、それが本当に正しい技術なのかどうか、確認がしづらい。多少(調子を)戻しづらくなってる要因もあるのかなと思います」。長丁場の公式戦。好不調の波を覚悟していても切り替えるのは簡単ではない。だからこそ、1本のアーチの価値は大きかった。

エンゼルス時代に24球団から一発を放ち、ドジャース移籍後の今季は古巣を含めて残り6球団からアーチを架けて全30球団本塁打を達成した。2盗塁で37盗塁まで積み上げ、史上6人目の「40ー40」にまた1歩近づいた。

それでも、今の大谷にとって個人成績は二の次。質問の意図をはぐらかしたわけではなく、いつしか話題はチームの行方に変わっていた。試合に敗れ、ゲーム差は2位パドレスと2、3位ダイヤモンドバックスとは3。「首位にいますけど僅差ではあるので。いい段階で勝ちを積み上げていって、なるべく余裕のある状態で9月に入れるのがベスト。今はそれの方が大事かなと思います」。大谷が思い描く「いい未来」は豪快なアーチの先に見えてくるに違いない。

◆セントルイスの観光名所「アーチ」 1965年に開業したアーチの正式名称は「Gateway Arch」。米国の西部開拓を記念して建造されたもので、イリノイ州との州境を流れるミシシッピ川の西側ミズーリ州の同地に完成した。高さ、幅とも630フィート(約192メートル)。外部は主にアルミで覆われており、内部はゴンドラに似たトラムで昇降可能。頂点付近には展望台があり、小窓から両州の景観が楽しめる。