佑&イチローの極秘競演だ。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が30日、午前中に都内でマリナーズ・イチロー外野手(37)と自主トレを行った。マネジメント会社が同じ「バウ企画」であることから、事務所の仲介で実現。キャンプ前だが、イチローの打撃投手も務めるなど、最高の腕試しを行った。12日の初日以来、約4万700人が詰め掛けた千葉・鎌ケ谷での新人合同自主トレを打ち上げ、今日31日にキャンプ地の沖縄・名護へ出発する。

 極秘に“佑&イチロー”が合体していた。斎藤佑が午前中に外出していた理由は衝撃的だった。午後に鎌ケ谷に戻った斎藤佑は「イチローさんと練習してきたので」と明かした。前日29日は「(午前中は)いろいろとあるので」とはぐらかしていたが、実際はイチローとの合同トレだった。

 きっかけはイチローからのアプローチだった。所用で訪れていた都内で練習をすることになり、声をかけられた。この日の新人合同自主トレが個人練習の日だったため、参加を即決。「(連絡は)1月中旬くらいに。楽しみにしていました」。いつもは冷静かつ慎重に対応するが、積極的に動いた。イチローが専属の打撃投手相手に練習を始めると、「投げていいですか?」と志願。快諾されるとスーパースター相手に変化球を交えながら約30球、“初実戦”まで終えていた。

 「多少、下心はありました。打ち取ろうと。でも無理でした。プロに入って初めての実戦だったので、この先も財産になる」と、素直に喜んだ。くしくも5日にイチローが夢の中で対戦したことを明かし「打てるわけないよね。160キロ近い球投げているし」と、“白旗”を上げていた。しかし現実は真逆で、メジャーで10年連続200安打を記録している技術を見せつけられたが、約1時間の競演は刺激の連続だった。「動き1つ1つが一流だなと。打撃もそうですが、ランニング、キャッチボールを含めてさすがだなと思いました。夢のようだった」と、すごみを実感していた。

 夢のような時間を過ごすと、すぐ鎌ケ谷に戻った。自主トレ期間中で最長となる約100メートルの遠投を行うなど、練習にも力が入った。投げることに関しては慎重さを失わなかったが、突然の全開モード。「テンションが上がったのと、イチローさんのボールがすごいので、それに刺激を受けました。本当にレーザービーム。あんな球見たことなかった」。とてつもなく大きな存在から得た財産。いよいよ初めてのキャンプへ出発する。【木下大輔】