もはや6番目の男ではなかった。右膝手術から復活したソフトバンク寺原隼人投手(31)が、負けなしの3連勝を飾った。巨人戦は救援勝利を含め、5連勝。Gキラーぶりを発揮し、チームの勢いをさらに加速させた。「力強いストレートがいった。大胆、丁寧の両方がいけたし、リズムが良かったのも大きかった」。ストライク先行で主導権を握り、失点は長野のソロだけ。狭い東京ドームで巨人打線を2安打に抑えた。「(先発で)一番強い球を投げられる投手」と工藤監督の信頼度も急上昇だ。

 マウンドだけではない。打席でも気持ちを込めた。2点リードで迎えた6回2死満塁。明石から革の手袋を借りた。投手用のそれは、バントのアクシデントや詰まり防止のため分厚い。「ちゃんと握りたかった。僕は投手だが、バットを持っているから」。9人目の打者の心構えを忘れていなかった。巨人高木勇の初球をセンター前にはじき返した。横浜時代の10年4月8日中日戦以来となるタイムリーで2点を追加。自ら追い風に乗った。

 7回の得点圏のピンチも最後は高橋由を勢いのある直球で見逃し三振。「いい感じで投げられている。継続したい」。先発ローテーションの座を確保する108球だった。【田口真一郎】