今度は谷繁監督にラブコール! 中日からドラフト1位指名された東海大相模・小笠原慎之介投手(18)が谷繁元信監督(44)との“バッテリー”を熱望した。27日、相模原市の同校で中田スカウト部長らの指名あいさつを受けた。引退したばかりの出場日本記録保持者にブルペンで球を受けてもらい、直接評価を聞きたい考え。黄金左腕にとって最高のデモになる。

 小笠原から飛び出したのは中日でしかできない、ぜいたくなお願いだった。

 「自分の長所である直球を前面に出して、1軍ですぐ活躍できるように頑張りたい。(谷繁監督に)僕の真っすぐを受けてもらいたいです。ベース上の球の勢いを見てほしいです」

 昼休みに行われた指名あいさつ。緊張した様子で出迎えたブレザー姿の小笠原が、最初に笑顔を見せた瞬間があった。佐藤スカウトから「交渉権確定」の印が押された当たりくじをもらった時だ。谷繁監督のサインと日付、さらに監督の座右の銘、頂点を目指すという意味の「無上」の2文字も書かれていた。

 指名された瞬間から、谷繁監督の存在に惹(ひ)かれていた。この日も「配球の話を聞きたい。高校とプロでは全然違う世界だと思う。投手の考えを持っている捕手という印象です。投手がほとんど首を振っていないので」と胸を躍らせた。そしてブルペンでのバッテリー結成を熱望した。

 谷繁監督はこれまでブルペンで新加入選手の球を必ず受けてきた。専任になる来年以降も「体調さえ大丈夫なら、もちろんブルペンで受けるよ」と話しており、小笠原のラブコールが実る可能性は十分ある。

 中田スカウト部長は「話の中では1年目から、と言っているけど(デビューを)せき立てることはない。馬なりでやらせて、使える状態なら使いましょうとなると思う。監督も実際に受けるでしょうから、そこでどう感じるか」と語った。

 最高のデモになりそうだ。最速151キロで、自己分析では「重い」という極上ストレート。後輩捕手が左手人さし指を腫らしてもん絶したという逸話がある。27年間ボールを受け続け、左手の方が大きくなった谷繁監督に、黄金左腕が名刺代わりの剛球を投げ込む。【柏原誠】

<小笠原慎之介(おがさわら・しんのすけ)アラカルト>

 ◆生まれ 1997年(平9)10月8日、神奈川・藤沢市生まれ。

 ◆球歴 小1で野球を始め善行中では「湘南ボーイズ」で3年夏にジャイアンツカップ優勝。東海大相模では1年春からベンチ入り。今夏の甲子園は吉田(オリックス5位)との2枚看板で全国制覇。

 ◆タフネス 今年5月の宮崎での練習試合で豪雨の中、都城を5回0封。中日スカウトは「まったく動じなかった。精神的に素晴らしい」と評価。

 ◆慎之介 名付け親は曽祖父で巨人阿部は由来ではなさそう。現在の愛称はオガ、慎之介など。

 ◆趣味 車を見ること。最近はカーアクション映画「ワイルド・スピード」にはまり、サントラ盤もお気に入り。米プロレスWWEのDVDも見る。リラックス方法は寝ること。

 ◆サイズなど 180センチ、83キロ。50メートル走6秒8、遠投110メートル。左投げ左打ち。家族は両親と弟、妹。