阪神は2軍投手コーチとして、広島OBの高橋建氏(46=野球評論家)を招へいすることが30日、分かった。受諾は決定的。金本新体制の整備はほぼ完了し、全容は固まりつつある状況だ。

 金本阪神が課題の若手左腕強化に向けて、赤ヘルで一時代を築いた左腕に白羽の矢を立てた。高橋氏は広島の先発左腕として活躍。01年に自己最多10勝をマークしたほか、救援でも登板を重ね、実戦経験は豊富だ。金本知憲監督(47)とは広島で同僚としてプレーし、野球観も共有。通算70勝の知恵は阪神投手陣にも貴重だろう。

 普段は温厚な性格だが、マウンドでは闘争心を打者にぶつけてきた。野球への探求心、挑戦する気持ちが強く、09年には米大リーグに挑戦。5月にはメッツで日本人最年長の40歳でのメジャーリーグデビューを果たしていた。サウスポーとして生きてきた自負心も大きな刺激になりそうだ。チームは岩貞、横山ら若手左腕が伸び悩み、榎田や小嶋ら中堅クラスも頭打ちの状態。球団挙げて、左腕の投手コーチを探してきた。

 引退後は広島戦を中心に評論。マツダスタジアムなどで阪神戦の戦いぶりもチェックしてきた。広島OBとして親身になって若手投手と接してきた姿も見られた。初めてのコーチになるが、新天地での指導に期待は大きい。この日、1軍投手コーチとして金村暁氏が発表されたばかり。金本新体制の“最後のピース”として、かつての投手王国・広島のDNAが加わる。

 ◆高橋建(たかはし・けん)1969年(昭44)4月16日、神奈川県生まれ。横浜-拓大-トヨタ自動車から94年ドラフト4位で広島に入団。09年に米大リーグのメッツに移籍。10年に広島復帰、10年限りで引退。日本で実働15年、459試合、70勝92敗5セーブ、防御率4・33。現役時は184センチ、90キロ。左投げ左打ち。