広島の「神ってる」男のバットが、大一番で火を噴いた。鈴木誠也外野手(22)。4回に同点25号ソロ。5回に2打席連発となる26号2ランだ。

 6月にあの言葉を贈られた。2試合連続サヨナラ弾に、緒方監督が「今どきの言葉で言うなら、神ってる」。夏場には新井の帽子の裏やカバンに鈴木のサインが入っており、ベテランが「そりゃ鈴木選手にパワーもらわんと。なかなか(サイン)してくれんかったけどね」と明かしたほどの成長ぶりを、Vのかかった一戦でも見せつけた。

 チームは42度目の逆転勝利。もちろん、今季の打線を語るのに、同学年トリオは欠かせない。田中広輔内野手(27)菊池涼介内野手(26)丸佳浩内野手(27)の1~3番トリオ。1番田中と3番丸は全試合出場。丸は打撃フォームを改造し、よみがえった。田中はリーグトップの死球を受けながら踏み込み続けた。2番菊池は献身的な打撃を徹底しつつ、リーグトップの安打数。8月末には菊池が「今年はタナキクマルで最後まで引っ張っていきたい」と語っていた。

 彼らは悔しい1日を決して忘れてはいないだろう。昨季10月7日の最終戦。中日戦で広島は1安打だけで完封負け。勝てばCS進出が決まった一戦での屈辱から1年後。たった1勝届かなかった舞台に、セ・リーグ覇者として立つ。