衝撃の全国デビューだ。初出場の桜美林大(関東5連盟第1)は、ドラフトでロッテから1位指名を受けた佐々木千隼投手(4年=日野)が8回11三振1失点と好投し、環太平洋大(四国・中国3連盟)に快勝した。

 佐々木千が、野球少年に戻った。8回1死まで無安打投球。大学では公式戦初となる打席に立てば、ソロ本塁打を放った。「うれしくて、わくわくしながら試合を待っていた。楽しかった」。小2で野球を始めて以来、初めて上り詰めた全国の舞台を独壇場にした。

 緊張なんて無縁だった。「悪いなりに投げられました」。最速は147キロ。初回1死後から5者連続三振を奪った。「3回ぐらいに無安打だと気付いた。打たれた時は少し残念だった」。8回1死後にシンカーを初安打され連打を浴びた。1点を失ったが、チームを全国初勝利へ導いた。

 首都大学リーグはDH制を用いるため、公式戦で打席に立つのは初めてだった。「毎日打撃練習をしてきた」と、初打席からフルスイング。ファウルで粘って四球を選ぶとベンチが沸いた。第3打席で逆方向へ大学初安打を放つと、8回には初アーチを放った。「狙った球(チェンジアップ)がきたので、当たってくれと願いながら振った。当たってくれて良かった」。高校通算33発のパワーまで見せつけた。

 趣味は銭湯という庶民派のイケメン右腕が、その実力を存分に見せつけた。準決勝は中日2位の京田陽太内野手(4年=青森山田)擁する日大だ。「今日は打撃は100点で、投球は50点。残り試合、かみしめながらやりたいです」。プロ入り前、大学生活最後に天下を取る。【和田美保】