球界の功労者をたたえる野球殿堂入りが16日、都内の野球殿堂博物館で発表された。監督歴代10位の1181勝を挙げた楽天星野仙一副会長(69)と、大洋(現DeNA)で通算201勝を挙げた平松政次氏(69)はエキスパート表彰。黄金期の西武を正捕手として支えたロッテ伊東勤監督(54)がプレーヤー表彰を受けた。

 伊東監督は「実感が湧かない」と繰り返した。ただ、スピーチでは、先に殿堂入りした川上哲治氏、広岡達朗氏、森祗晶氏、ウォーリー与那嶺氏ら恩人の名前を挙げ「1歩でも近づいたのかな」と喜んだ。特に、熊本工の大先輩である川上氏には、西武監督就任後に直筆の手紙を2通、もらったという。「体に気を付けて」「奥さんを大事に」。今でも取ってある。

 渡辺久信、工藤公康、郭泰源等々。そうそうたる投手がそろう黄金期の西武を、正捕手として引っ張り続けた。「それぞれの個性に合わせた配球は、当然考えてやっていた。あと、私生活の観察。グラウンドを離れると人柄が変わる人もいる」。たゆまぬ努力、心がけが根底にあった。

 14度のリーグ優勝、8度の日本一。ベストナイン、ゴールデングラブは2ケタに上る。栄光に彩られた選手生活だったが「誇れるものはない」と謙遜した後、こう続けた。「経験だけ。いろんな局面、場面を体験しているので、そこは負けない自負がある。現役選手が困った時は、すぐアドバイスできる自信はある」。現役監督として、これからも次世代の選手を育てていく。【古川真弥】

 ◆伊東勤(いとう・つとむ)1962年(昭37)8月29日、熊本県生まれ。熊本工で甲子園出場。所沢高に転校して西武練習生になり、81年ドラフト1位で西武入団。03年まで22年でリーグ優勝14度(日本一8度)。ベストナイン10度、ゴールデングラブ賞11度。捕手の連続守備機会無失策はシーズン943、連続シーズン1263ともパ・リーグ記録。捕手として2327試合出場は谷繁元信、野村克也に次ぐ歴代3位。西武監督に就任した04年に日本一で正力賞。07年退任後、09年WBCの日本代表総合コーチ、韓国・斗山ヘッドコーチなどを経て13年からロッテ監督。