この日は両サイドに直球を投げ分け、コースギリギリにスライダーを曲げた。キーマン山田を4打数無安打に封じ、バレンティンも第1打席から2打席連続でスライダーで空振り三振に仕留め、勢いに乗せなかった。「やっぱり真っすぐが基本線」と答えが間違っていなかったと実感できた。

 自分へのリベンジも決めた。11日の広島戦では5回までは96球を要して無失点も6回途中5失点で降板。「悔しいというのを通り越して何とも言えない気持ちになった」。この試合は長くマウンドに君臨するのを命題にした。打たせて取って5回を68球で終え、リーグ一番乗りの完封ペースをつくり出した。「今日の試合に懸ける思いは持っていた。最後までマウンドを守れてうれしい。自分自身にケジメをつけられて良かった」とうなずいた。

 打っても2安打で「投手は投げるだけじゃない。今年は打撃にも注目してください」と笑った。次の登板は25日からの広島3連戦(マツダ)。「強敵だけど、しっかり準備して真っ向から立ち向かいたい」。確かな手応えを得たエースが、次は昨季王者に借りを返す。【浜本卓也】

 ▼菅野が3安打完封勝ち。菅野の完封は通算5度目だが、3安打は15年5月19日阪神戦、16年4月13日ヤクルト戦の4安打を抜いて自身最少被安打。熊本で完封勝ちした投手は96年9月7日横浜戦の吉井(ヤクルト)以来となり、巨人では78年4月13日大洋戦の堀内以来、39年ぶり2人目。これで地方球場の菅野は通算9試合で7勝1敗、防御率1・75と好投している。

 ◆藤崎台県営野球場 熊本市中央区にある野球場。収容人数2万4000人。1960年の熊本国体時に完成。スコアボード横の大きなクスノキが名物。昨年4月の熊本地震で外野席、照明の損壊やバックスクリーンに亀裂が入るなどの被害が出た。ソフトバンク松坂は1000万円の義援金を寄付した。