4回裏。先頭の主将浅村が中堅フェンス直撃の三塁打で出ると、4番中村が2球目を左翼席に運んだ。わずか3球で先制。その後も木村文、外崎、炭谷と打率が低迷している選手たちに、次々とヒットが出た。合計4得点。ベンチ前でウオームアップする菊池は、何度も拍手でたたえた。

 前日までのソフトバンク相手の3連敗時も、2試合で先制したが、先発投手が逆転された。この日は違う。点をもらった直後の5回表。菊池の投球は、さらにすごみを増した。銀次、今江を三振に取ると、島内には145キロ、144キロと高速スライダーを連投し、3球三振。試合は決した。

 「今日は今季のターニングポイントだと思っていた」と菊池。この2週間で2度の同一カード3連敗で、チームは借金状態に突入していた。それでも、雄星は勝ってくれる。周囲の望みはそれだった。しかし辻監督は「だからこそ怖かった。雄星でも負けたら、しばらく立ち直れないダメージを負う」と振り返る。

 そんな重圧をはねのけ、エースは勝った。この日はこどもの日。子どものころのヒーローとして、松井秀喜氏の名前を挙げた。「打ってほしい時に打ってくれた。そんなところに憧れました」。菊池も勝ってほしい時に勝った。球場を埋めた子どもたちのヒーローになった。【塩畑大輔】