主砲が豪快弾とともに帰ってきた。股関節に違和感を訴えていたDeNA筒香嘉智外野手(25)が5試合ぶりに出場し、4号2ランを含む3安打3打点と大暴れ。3回の本塁打は、球場に設置してある弾道測定器(トラックマン)によると、打球速度が昨年の球団平均を12キロも上回る170キロ。右翼席上段まで運ぶ存在感抜群の1発で、チームを4位浮上に導いた。

 迷わず振り抜き、打球に力が乗り移った。3回2死一塁。筒香は初球の内角高め、129キロの落ちきらないチェンジアップを見逃さなかった。体が自然に反応した。右翼席最上段を突く4号2ラン。規格外の大きさは、打球速度170キロ(昨年の球団平均158キロ)と数字が物語っていた。お立ち台では一礼して言った。「完璧です。今日のホームランが(今季)一番よかった」。「ただいま」と言わんばかりのあいさつ代わりの1発だった。

 股関節違和感で欠場した21日の巨人戦。人知れず、バットを振り込んだ。グラウンドには姿を見せなかったが、横浜スタジアムに隣接する室内練習場に約1時間こもった。ラミレス監督も気づかなかった。無心で野球と向き合い「今までは打ちにいっていた。この4日間でいろいろと整理できた。しっかり(球を)待って、打ちにいくことができた」。まさにけがの功名。ただ、主将で主砲の責任感が原動力だった。

 ここ4試合、ベンチで戦況を見守った。「チームに迷惑をかけてしまっていることは申し訳ない」と謝意と同時にこみあげる感情。「これだけ試合に出られないと出たくてウズウズする。やっぱり野球が好きなんだな、と」。試合から離れ、素直な気持ちがこみ上げていた。シーズン前にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、15年オフもドミニカ共和国のウインターリーグに参戦。毎年オフ返上の野球漬けの日々にぽっかりと穴があいた。