最高の出だしだったのに…。阪神高山俊外野手(24)が、最も悔しい思いをした1人だったに違いない。1回表に今季5号となる先頭打者本塁打を放ったが、その裏に逆風に押された左前への打球をキャッチできず逆転打としてしまった。攻守で明暗が分かれる形となってしまったが、今日2日以降の反攻ヒットパレードを期待してるで~。 

 強風をねじ伏せた直後、強風に泣いた。高山の類いまれな「魅力」、そして「課題」が初回の攻防に凝縮された。まずは1回表。先頭で初球を空振りした後の2球目だ。右腕唐川の高めに浮いた142キロ直球を力みなく、それでいてシャープに強振。センターからホーム方向に吹く風速8メートルとのガチンコ対決に勝利し、2試合ぶりの今季5号をバックスクリーンに運んだ。

 高山 1打席目は真っすぐに振り遅れることが多かったので。少し上がりすぎたので、入るとは思いませんでした。

 高々と打ち上げた飛球だっただけに、さすがに強風に押し戻されると感じたのだろう。本人もビックリの一撃。フェンスを越した白球の軌道は2年目の確かな進化を証明する。まだ6月に入ったばかりの時期で、15年鳥谷以来となるシーズン先頭打者弾2発をクリア。いきなりこの試合のヒーロー有力候補に躍り出たはずだったが…。

 1点リードの1回裏2死一、二塁。今度は左翼から一塁方向へ吹く風速6メートルに惑わされた。5番鈴木の飛球が左翼線に上がる。押し戻されるボールに対し、左翼高山の動きが一瞬止まった。すぐさまチャージを始めてバックハンドでダイビングキャッチを試みたが、ファウルゾーンに後逸。痛恨のプレーは逆転を許す2点二塁打に形を変えた。

 金本監督は試合後、結果的に敗戦につながったプレーを必要以上に責めはしなかった。「目測を誤ったのかな。スタートが遅れたような感じだった。それは彼の守備力なので。それを分かって、使っているわけですから。期待してね」。起用している側の覚悟をあらためて強調した上で「練習しかない。練習と集中力と」と向上を願った。

 打球に対する1歩目が…。そんな問いかけに、高山は「はい。そうですね」と厳しい表情。短い言葉に自責の念を込めた。2打席目にマルチ安打を決めた後は好機で2度凡退もしている。近い将来、阪神タイガースを背負って立っているであろう若虎だ。たとえ堂々の1発を決めても、簡単に満足する器ではない。【佐井陽介】