先発陣の新星だ。広島中村祐太投手(21)が「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で、6回4安打1失点。初登板から負けなしの3勝目をマークした。打線の援護を受けて、ロッテ打線に連打を許さず、リードを守りきった。主戦の復帰でローテーション再編も、自らの手で先発枠を勝ち取った。初打席から2打席連続弾のバティスタだけでなく、投手陣にも楽しみな新戦力が現れた。

 打線の援護を受け、中村祐はテンポよく捕手会沢のミットを響かせた。1回を3者凡退に切ると、打線がすぐに援護。リズムに乗った。3四死球も重しとはならず、6回までスイスイと投げ抜き、4安打1失点。プロ入り初登板初勝利から負けなしの3勝目。チームの連勝に貢献し、貯金を最多タイの12とした。

 「初回に丸さんが先制してくれて楽に投げさせてもらった。今日はスライダーが良かった。自信を持って、ストレートと同じように腕を振って投げられた」

 初勝利した日と同じように、この日も白星を願って白のコーディネートで球場入り。フォームもワインドアップに戻した。初対戦のロッテ打線に切れのある真っすぐとスライダーを軸に連打を許さなかった。走者を出しても慌てない。好リズムがバックの好守備にもつながり、ゼロ行進。6回に自らの悪送球で1点を失ったものの、試合の流れは手放さなかった。

 地元初登板初勝利を挙げた先月3日の試合後には寮生の鈴木や西川らに加え、丸とともに食事に出た。「守っている感覚を聞いて、投球の参考になった。誠也さんはもともと意識が高かったけど、今も変わらず高い。僕もしっかり自分を持って取り組まないといけない」。主力選手に成長した同郷の先輩を刺激に、着実にステップを上がっている。

 前日3日に野村が復帰し、来週にはジョンソンも1軍に帰ってくる。緒方監督は「編成をいろいろ考えながらやる。後ろの投手が頑張って登板して疲労がある。先発から中継ぎに入れることも考えながら」と先発再編を示唆するが、21歳は次回も先発が濃厚。「ジョンソンが戻ってくればチームにとってもプラス。たとえ先発でなくても、与えられたところで自分の力を発揮したい」。1軍選手としての自覚を胸にチームの勝利だけを願い、真っさらなマウンドに上がる。【前原淳】