中日ラウル・バルデス投手(39)が復帰戦を白星で飾った。7回3安打無失点の好投で、チームの連敗を3で止めた。自身の連敗も4で止め、4月23日以来の2勝目をつかんだ。

 不調で出場選手登録を抹消されていた。疲労が主な原因。中4日登板を好むスタミナ、筋トレマニア、野菜嫌いの超肉食など、マッチョなキャラだが、バルデスも人の子。今年40歳になる通称「おじいちゃん」は2軍降格後、疲れた表情を見せていた。球団関係者は「初めて見た。あのバルデスが」と驚いた。

 開幕から5月17日の阪神戦まで9戦すべて好投したが援護が少なく1勝だけ。その後の2試合とも崩れ、再調整の断が下った。この2週間は投げたい気持ちを抑え、ブルペン投球を2度にとどめた。代わりにランニングや遠投を取り入れた。この日は思う存分? 124球も投げてオリックス打線を封じ込めた。

 「今日の勝ちはうれしいけど、自分が勝てなくてもいい投球をすればいずれ運気が上がってくると思っている。チームの連敗を止めたかった。とにかく低めにと集中したよ」とバルデス。勝ち運のない男に授けられた4点の援護。森監督は「投手が我慢すればいいことがあるわな」と笑みを浮かべた。好調オリックスに一矢を報い、交流戦の勝率5割。頼れる左腕の復帰は中日の明るい材料になる。【柏原誠】