1回2死からDeNAロペスに内角球を左翼席にライナーで運ばれ、先制点を許した。打線に勝ち越してもらった直後の3回は2死三塁から足元への打球を捕れず、二塁への同点適時内野安打とした。「走者の出し方も悪かった。自分で取れる打球も取れなかった。チームにリズムをつくれず申し訳ない」。6回は先頭筒香に投じた外角チェンジアップをうまく打ち返され、センターバックスクリーンへの勝ち越し弾となった。

 本調子ではなくても6回を3失点にまとめる技術は、昨季投手2冠右腕の成長の証し。本調子ならばボール1球分のボールゾーンを含め9分割、12分割に投げ分ける意識でいる。だが、調子が悪いときはコース、または高さを3分割にして投球を窮屈にさせない。ピンチのときもコースに決めることを狙うのではなく、「強い球を投げる」ことを意識する。その日の状態に応じて投球を変えられる適応力と割り切りが、逆転勝利の舞台を作った粘りとなった。

 野村の粘投で広島は交流戦明け3連勝。貯金19は今季最多、2位阪神とのゲーム差6も今季最大だ。「チームが勝てたことが良かった」と勝利に安堵(あんど)の大黒柱は、次こそ自身の投球でチームに白星をもたらす。【前原淳】