巨人菅野智之投手(27)が、ハーラーダービー単独トップとなる8勝目を挙げた。

 前半戦最後の9連戦で今季6勝のマイコラスを2度登板させるため、2年ぶりに中4日で先発。首位広島打線を6回3安打無失点に抑え、2試合連続の無失点リレーに導いた。打線も11安打5得点と投打がかみ合い2連勝で、今季初めて広島戦の勝ち越しに成功。5位と低迷する中、意地を見せた。

 菅野が目の色を変えた。1点リードの5回1死一、二塁、打者は会沢。テンポ重視の投球を初めて迎えたピンチで「力で押し込む」と決めた。直球系を突っ込み、二ゴロ併殺打に仕留めた。「試合の鍵になると思って全力で投げた」。右手でグラブを3度たたいた。

 チームに勝ちをもたらすことだけを考えた。15年10月16日のクライマックスシリーズ・ファイナルのヤクルト戦以来、自身3度目の中4日での登板。過去2度は黒星で、得意とは言えない。だが9連戦最後の12日ヤクルト戦にマイコラスを投入するため、間隔を詰める必要があった。「いけと言われたところで仕事をするだけ」と覚悟を決めた。

 菅野なりのエースの哲学がある。「記録はチームの勝ちに直結してこそ」。3試合連続完封を達成した直後の5月上旬。斎藤2軍監督に並んだ、という周囲の声を否定した。「その年、斎藤さんは20勝し、245イニングを投げている。その中で達成した記録。チームへの貢献度が違う」。自ら大先輩の記録を調べ、偉大な数字を意識に置いた。チームを最優先する姿勢の重要性を再認識している。