まさかだった。楽天のミスター「0」の記録が途絶えた。これまで36試合に登板し、防御率「0・00」をマークしてきたセットアッパーの福山博之投手(28)が、37試合目で初めて自責点を許した。

 3点リードの8回から2番手で登板も、先頭から四球と単打で無死一、二塁のピンチを招く。レアードへの2球目、高めのシュートを左翼スタンドに同点のアーチを運ばれた。防御率は「0・81」と変わり、次打者の大谷のところでベンチに下がった。勝負は延長11回までもつれ、サヨナラ負けを喫した。福山は「チームの人に申し訳ない」と肩を落とした。

 落ち込む福山を指揮官、チームメートはねぎらった。梨田監督は「信頼が変わることはありません」。キャプテン嶋も「サブ(福山)のおかげで、何試合も勝ってきた。どんな場面でも投げてくれてきた」と最敬礼すれば、選手会長の銀次も「打たれたくて、投げている人なんかいない。こんな日もある」とフォローした。7回を無失点の先発塩見も「サブも人間」。リードした中で先発-福山の流れは、首位の原動力とも言える勝利の方程式だった。その貢献度をみな、分かっている。

 記録はいつか途切れる-。今日21日は、本拠地Koboパーク宮城に舞台を移す。後半戦初のホームゲームで、オリックスを迎える。プロ初勝利を狙う先発・古川の後を継いで、福山が、また再び「0」を積み重ねていくだけだ。【栗田尚樹】

 ▼楽天福山が開幕37試合目で今季初めて自責点を記録。今季対戦打者128人目で初の1発をレアードに許した。5月16日日本ハム戦で失策絡みの失点があるため連続無失点ではないが、36試合連続で自責点0は藤川(阪神)が06年にマークした38試合連続無失点のプロ野球記録と比べても劣らぬ安定感だった。