後輩に心配をかけたくなかった。オフの自主トレから振り込んできた97センチ、1キロのロングマスコットバットは、鈴木の練習法を参考にしたものだった。「誠也がいなくなって打線が弱いと言われたくない。誠也も安心して治療できないでしょ」。無念の離脱となった仲間への思いもバットに乗せた。

 広島打線が意地を示した。試合前の練習中、打撃順が記されたホワイトボードにやや乱暴な言葉が書かれた。「あきらめるまで殴る。最後まで殴る」。3連敗中は中盤までリードしながら、突き放すことができなかった。だが、この日は5回にエルドレッドの1発でバルデスをKO。終盤も得点を重ねて中日のファイティングポーズを崩した。

 会心の勝利に緒方監督は「ファンの大きな声援もあって、素晴らしい試合ができた。また明日頑張っていきたい」と胸を張った。3戦連続サヨナラ負けの悪夢から、緒方広島はコイ党で埋まったマツダスタジアムでよみがえった。【前原淳】