ロッテが新監督の候補を、今季限りで引退する井口資仁内野手(42)で一本化したことが22日、分かった。8月13日の伊東監督の辞任表明を受け、球団は複数の候補をリストアップ。検討を続けてきたが、最終的に井口にオファーを出すことに決めた。3年を基本とした複数年契約を提示し、最下位に沈むチームの再建を託す。明日24日の引退試合(日本ハム戦、ZOZOマリン)以降に、本格的に交渉を開始する。

 停滞していたロッテの新監督選びが、シーズン最終盤を前に「井口に一本化」で固まった。今月13日のオーナー会議直後には「前に転がっていない」と山室球団社長が難航を示唆していた。伊東監督の辞任表明を受け、球団は10人前後の候補をリストアップ。球団OBで韓国ロッテでコーチを務めるフリオ・フランコ氏らの名前もあったが、ここにきて井口以外の名前は消された。

 決定権のある重光オーナー代行は「勝てる」かつ「人気がある」人材を希望したという。井口には日米で所属チームを優勝争いへと導いてきた通算21年の経験がある。ロッテの日本一は10年が最後。優勝経験のない若手が増えたチームの底上げも期待される。球団内には現役引退直後でコーチ経験のないことを理由に慎重な意見もあった。ただ、ある幹部が「コーチ経験がないのは変えようがない。球団としてそれでもいいと判断するか、どうかの話」と話したように、井口の実績への評価が、懸念を上回った。

 人気は申し分ない。メジャーで手にした2つのチャンピオンリングを引っ提げ、09年にロッテ入りして以来、ファンの高い支持を受けている。引退試合のチケットは、早々と完売。10日にZOZOマリンでトークショーを行った際には、立ち見も含め人があふれた。昨季より約5%減少している観客動員の回復にも大きな期待がかかる。

 今後は、来月10日の今季最終戦までの契約合意を目指す。井口も将来的な監督就任の意欲は隠していないが、オファーを受けるかは交渉次第とみられる。球団としては、初めて指導者となる井口が存分に戦えるよう、3年を基本とした複数年契約を用意する。さらに、井口監督で「勝てる」体制を敷くため、コーチ陣の人選などに取りかかる。

 ◆井口資仁(いぐち・ただひと)1974年(昭49)12月4日、東京都生まれ。国学院久我山2年夏に甲子園出場。青学大では東都大学リーグ最多の24本塁打を放ち、96年アトランタ五輪銀メダル。同年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。97年5月3日近鉄戦で新人初のデビュー戦満塁本塁打。01、03年盗塁王。01、03、04年にベストナイン、ゴールデングラブ賞。04年オフにダイエーを退団して渡米。05年、ホワイトソックスの2番・二塁に定着して88年ぶりワールドシリーズVに貢献。08年フィリーズでも、シリーズ出場はなかったが世界一。09年以降はロッテでプレー。13年7月26日、日米通算2000安打達成。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。家族は夫人と1女。