DeNA細川成也外野手(19)が、史上初となる高卒デビュー戦2試合連続本塁打を放った。5回に先頭で打席に入ると、3球目の直球を逆方向の右翼スタンドへ運んだ。前夜の初打席初本塁打に続いて、2夜連続の勝ち越しアーチ。プロ野球史上、2リーグ制となった50年以降高卒新人のデビュー戦2戦連発は初めて。最後の最後に頭角を現したルーキーが、クライマックスシリーズ(CS)では、秘密兵器になるかもしれない。

 19歳に注がれる期待感が、横浜スタジアムに充満していた。ルーキー細川が、第2打席の3球目、高めの直球を右翼スタンドへ運んだ。前夜の初打席初本塁打に続く2試合連続勝ち越し弾。その瞬間を振り返る。「真っすぐがないと思っていたら、真っすぐがきて、パッと手が出て押し込むことができた」。センター方向だった前夜とは違う、逆方向への打球が、まぐれではないことを証明した。

 2リーグ制となった50年以降、高卒新人のデビュー戦から2戦連発は史上初めて。消化試合の2試合が、ルーキーを開花させた。3位確定で2年連続となるCS出場を決めると、ラミレス監督は新星を昇格させることを決断した。高田GMに相談し1軍へ呼び寄せると、初打席でスコアボード直撃の衝撃弾。同監督も「いつスーパースターになるか分からないけど、必ずそうなる」と驚きを隠せなかった。

 プロ1年目、弱点は明らかだった。直球はめっぽう強いが、変化球が打てなかった。三振は増え、自信もなくした。「ゆるい球が打てなくて…」。できるだけ球を引き付け、逆方向へ打てるように意識して取り組んだのは、夏ごろだった。2軍で結果が出始めたのは9月。実りの秋を感じさせる今季最終戦で「バットをきれいに出すことができた結果、逆方向に飛んでくれた」と1軍で成果を出した。

 シーズン最後の2試合6打席で、この存在感。CSでは“秘密兵器”になり得る。指揮官からは「この2試合誰のおかげで勝てたかというと、彼のおかげ」と称賛を受ける離れ業。それでもまだまだ、納得がいかずに、試合後はトレーニング室にこもって筋トレ。「自分の魅力は長打。チャンスをもらった1打席で結果を出していきたい」。CSまであと9日。19歳の進化はまだまだ、止まらない。【栗田成芳】