パ・リーグ王者ソフトバンクがドラフト1位に指名した鶴岡東・吉住晴斗投手(17)が27日、同校で球団側から指名あいさつを受け、プロ入りへ向け前向きな姿勢を示した。真新しいユニホームに袖を通した吉住は「昨夜は1位指名にびっくりしたが、期待に応えられるよう活躍したい」と一夜明けて、気持ちを新たにしていた。山形県では初となる高校生ドラフト1位選手誕生の経緯を、吉住を発掘した作山和英スカウト(48)が振り返った。

 まさかの1位指名から一夜明け。新聞紙面には、「外れ外れ外れ1位」の見出しが躍ったが、吉住は冷静に受け止めていた。「清宮、安田、馬場さんとすごい名前が続いていた。その後にまさか僕の名前が呼ばれるとは思いませんでしたが、今日は気持ちを切り替えられている。こだわってきた直球にもっと磨きをかけて、彼らに負けないように活躍したい」とライバル心を隠さなかった。同じ鶴岡市出身で、ソフトバンク選手会長の長谷川勇也外野手(32)にあこがれ、プロを目指した。「あこがれの人と同じチームでやれることはうれしい。教えてもらいたい」と目を輝かせた。

 3連覇を目指した今夏は3回戦で山形中央に5-12で敗退。4回から登板し7三振を奪うも5回8安打5失点で降板。6球団のスカウトが見守る中、力を発揮できず涙した。作山スカウトは「夏の大会は結果を求められすぎる。小手先だけで投げている感じで気持ちよく投げているように見えなかった」と振り返る。

 東北地区担当として23年間、多くの選手を見続けたベテランスカウトは「もしかしたらこの先もっと伸びるかも」と予感。練習場に通い詰め、吉住の成長を目の当たりにした。「ブルペンで真後ろからボールを見て恐怖を感じた。勢いで言えば岩崎(翔=28)やサファテ(36)。真っすぐで打者を押し切れると感じました」。工藤公康監督(54)も「投げっぷりがいいしボールの強さもある。面白い」と高評価し、1位指名に至ったという。

 目標とする千賀滉大、武田翔太(ともに24)の存在も刺激になっている。「武田さんは細身だが腕のしなりがすごい。千賀さんは直球が速くて変化球で三振が取れる。僕もそういう投手になりたい。日本を代表する投手から学びたい」。気持ちはもう、プロ一色に染まっている。【下田雄一】